神奈川で最も人気の山といっても過言ではない「大山」
大山には2,000年以上の歴史を誇る阿夫利神社や伝統的な造りが魅力の大山寺、七不思議スポットと呼ばれるミステリアスな名所、さらには山頂から見渡せる相模エリアの絶景など、観光客から絶大な人気を集めている名所なのです。
今回はそんな日帰り登山も可能な大山の観光スポットや、その歴史などを詳しくご紹介していきたいと思います。
大山の歴史
観光客から絶大な人気を得ている大山ですが、その深い歴史も注目ポイントの一つです。
大山は東京の高尾山と同様、かつて山岳信仰の対象となっていたこともあり、霊山として親しまれていました。
そのため、多くの修験道が大山を訪れ修行を行ったといわれています。
また、この周辺では縄文自体の土器などが出土しており、かなり古い時代から山岳信仰が行われていたのではないか?との説もあるのです。
大山の神様=水の神様
大山は別名「あめふり山」とも呼ばれており、当時の人々は雨乞いなどの信仰を行っていました。
さらに大山の神様「大山祗大神」は水の神様といわれており、海洋の守り神・大漁の神としても親しまれてきたそうです。
このことからも、この地では当時の人々の生活と信仰が大山と深く結びついていたことが見て取れますね。
ちなみに、日本ではこの「あめふり山」を題材とした日本画や講談なども数多く存在します。
大山の観光スポット15選と登山ルート
ここからは大山の各観光スポットについてご紹介していきたいと思います。
標高1,252メートルの高さを誇る大山ですが、ケーブルカーを使えば「大山阿夫利神社(696メートル)」まで登山をスキップすることができます。
今回はケーブルカーを使用しない場合を想定したルート、その道中にある観光スポットについて触れていきたいと思います。
女坂から大山阿夫利神社までの七不思議スポット
大山の登山道は男坂と女坂と呼ばれる2つのルートが存在しますが、両方とも大山阿夫利神社にて合流できます。
ちなみに、女坂の方が難易度が低くいこと、男坂からは大山寺へアクセスできないことを考えると、単純に観光を楽しみたい方や初心者には女坂ルートからの登山がおすすめです。
ちなみに、女坂の道中には大山の「七不思議スポット」と呼ばれる名所が点在していますので、そちらも見どころの一つです。
子育て地蔵
大山七不思議スポットの一つ「子育て地蔵」
日本では道中に置かれているお地蔵さまは、仏様の代わりに人々を苦しみから救い、正しき道へと誘う存在といわれています。
ここに置かれている「子育て地蔵」も、最初は普通のお地蔵さまとして安置されていましたが、いつの間にか子供のような顔へと変化したと伝えられています。
そのため、このお地蔵さまに祈りを捧げると、子供がすくすくと丈夫に育つといわれています。
爪切り地蔵
石の表面を削り彫られた「爪切り地蔵」
日本各地に様々な伝説を残した偉人「弘法大師(空海)」が自身の爪を使い、たったの一夜で彫り上げたといわれています。
ちなみにこの伝説は、「何事も一心に集中すれば実現できる」との教えを表しているそうです。
大山ではありませんが、埼玉県秩父でも「奇人・即道」と呼ばれる人物が、自らの爪で彫った2メートルの立像が存在します。
関連記事:秩父にある謎の暗号石とは?秩父の奇人・「即道」の伝説を調査してきた
首なし地蔵
ちなみに、日本には「首なし地蔵」と呼ばれる奇怪なお地蔵さまも存在するのですが、大山でも所々で目にすることがあります。
日本ではかつて、神社系の「神道」を国の正式な宗教とする動きが活発化し、海外からきた「仏教」を弾圧する運動が起こりました。
1868年に起きたこの活動は「廃仏毀釈運動(はいぶつきしゃくうんどう)」と呼ばれ、多くのお寺やお地蔵さまが破壊されてしまいました。
その名残りにより、大山や千葉県の鋸山などでもその痕跡が今なお残っているのです。
関連記事:これぞ地獄の景色…鋸山の観光スポット8選が壮大すぎた
弘法の水
爪切り地蔵と同様に、弘法大師により造られた「弘法の水」
この土地の言い伝えでは、弘法大師が岩を杖で突いたらそこから清水が湧き出てきたといわれています。
さらに、この水は夏の間も枯れることなく、水の量も変化しないと伝えられています。
このことからも、別名「弘法の加持霊水」とも呼ばれているそうです。
無明橋
赤塗りが特徴的な「無明橋(むひょうばし)」
誰かと話をしながらこの橋を通ると、落とし物をしたり、橋から落下するとなどの不幸が起きるといわれています。
できるだけ無心で通過した方が良さそうですね。
潮音洞
少しばかり恐ろしい雰囲気をかもし出している「潮音洞(ちょうおんどう)」。
この祠の近くで、心を鎮め耳を済ませると、潮の音が聞こえてくるそうです。
誰が何を祀るために作ったのかは不明です。
眼形石
少し観ずらいですが、小さなお地蔵さまの左横に設置された「眼形石(めがたいし)」
人の眼の形をしていることから「眼形石」と名付けられたそうで、この石に手を触れながらお祈りをすると、眼の病が治るといわれています。
逆さ菩提樹
上が太く、下が細いといわれている「逆さ菩提樹(さかさぼたいじゅ)」
逆さまに生えているように見えることから、そのような名前がつけられたそうです。
現在生えているのは二代目らしく、残念ながらその景観は変わってしまったようです。
大山寺
女坂の七不思議スポットを通って進んでいくと、「大山寺」と呼ばれる観光スポットにアクセスできます。
こちらは755年に創建された由緒正しきお寺となっており、その景観はまさに壮大です。
また、秋には辺り一面が紅葉に染まり、石階段の周りはが紅いトンネルのような景観に様変わりします。
その紅葉に囲まれた手水舎や、周辺の景色も非常に幻想的な仕上がりとなっており、11月前後には数多くの参拝者が訪れます。
ちなみに、この辺りは11月中盤〜後半にかけて夜間ライトアップが行われるため、より幻想的なイルミネーションを見ることができます。
大山寺はロープウェイ乗り場からもアクセスが容易ですので、興味のある方はぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか!
大山阿夫利神社
大山観光のメインスポットとなる「大山阿夫利神社」
女坂・男坂両方からアクセスが可能ですが、近くにロープウェイ乗り場も設けられているため、阿夫利神社への参拝だけを目的に大山を訪れる方も少なくありません。
大山阿夫利神社は今から約2,200年前に創建されたといわれており、冒頭でもお伝えした通り「海洋の守り神・大漁の神」など、水の神さまを祭っています。
山岳信仰の中心地として親しまれてきた大山ですが、その歴史を深く感じることのできるスポットでもありますね。
また、日本で有数の古社であることや相模湾の景色を一望できることから、初詣には数多くの参拝者が訪れます。
そんな壮大な歴史と絶景の眺めをもつ大山阿夫利神社ですが、実はここはまだ山頂ではありません。
もし大山山頂を目指す場合は、神社の横から登山道をさらに奥へと進むことになります。
大山阿夫利神社から山頂ルートの観光スポット
大山山頂への登山は老若男女問わず登れるレベルではありますが、下記の様な道のりを歩くことになります。
大山阿夫利神社(標高696メートル)
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道中の観光スポット
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大山山頂(1251メートル)
↓
別ルートで下山
↓
下山ルート道中の観光スポット
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大山阿夫利神社
↓
ロープウェイか女坂・男坂から下山
といった具合に、登山道を一周して大山阿夫利神社に戻る道のりとなります(山頂までは大山阿夫利神社から1時間30分〜2時間ほどかかります)。
難易度はそれほど高くはありませんが、紅葉シーズンでも山頂付近は雪が積もっていることもありますので、季節によっては装備を整えておくとより快適になります。
ここからは、主にそのルートの道中にある観光スポットを詳しく解説していきたいと思います。
夫婦杉
大山阿夫利神社から続く登山道を少し歩くと、「夫婦杉」が見えてきます。
根本から2つに枝分かれした珍しい形の夫婦杉ですが、その樹齢は500〜600年といわれており、登山道の見どころの一つとして親しまれています。
富士見台
夫婦杉を通過し、しばらく歩くと見えてくる「富士見台」
その名の通り富士山を一望できる地形となっており、天候に恵まれれば絶景を目の当たりにすることができます。
ちなみに、江戸時代にはここに茶屋が設けられていたらしく、その美しい景観は日本画の題材にもなったといわれています。
天狗の鼻突き石
日本で最も有名な妖怪といえば、天狗の名前が挙げられますが、大山にはそれに由来するスポットが存在します。
それがこちらの「天狗の鼻突き石」。
天狗が鼻で岩を突いたかのような穴があることに由来するそうです。
また、かつて日本の山では天狗が多々目撃されており、特に山岳信仰が盛んだった場所に出現情報や天狗に由来するスポットが残っているそうです。
ちなみに、天狗は修行者と似た衣をきていたり、山岳信仰が盛んな山に現れる傾向にあったことから、そのの正体はかつて山中で修行していた「山伏」と呼ばれる修験道だったのではないかとの説もあります。
もしこの話に興味がありましたら、下記の記事もお読み下さい
関連記事:天狗は1400年前に実在した妖怪?その正体と高尾山に眠る伝説を解説
大山山頂
天狗の鼻突き石から山頂への道は、12月前後になると徐々に雪景色へと変わり気温も下がります。
しかし、雪と山道が組み合わさったその景観は、冬入前ならではの幻想的な風景に様変わりします。
そしてその道をさらに進んでいくと、いよいよ大山山頂に到着します。
山頂からの眺めは辺り一面絶景となっており、大山阿夫利神社よりもさらに神奈川県相模エリアを一望すことができます。
また、山頂ではベンチやテーブルが設置されていますので、ここで絶景を見ながら昼食を取られる方も多いです。
注意点としては、12月前後からはトイレが凍結してつかえませんので、体調管理には予め気をつけておく必要がありますね。
二重の滝
大山山頂から阿夫利神社まで帰る際に、別の下山ルートを通って他の観光スポットを巡ることができます。
そのうちの一つが、この「二重の滝」です。
かつて一つだった岩が上下二段に別れ、後に上段から水が湧き出てきそうで、二段の岩を流れることから「二重の滝」と呼ばれているそうです。
かつて大山で修行を行っていた「修験者」たちが、こちらの滝に打たれて禊を行っていたといわれています。
そのことからも別名「清めの滝」とも呼ばれ、現在も神域となっているそうです。
大山の伝承・呪いの杉
かつて二重の滝のほとりに、「呪いの杉」と呼ばれる樹木が存在したといわれています。
深夜0時から4時の間(丑の刻)に、対象となる相手の姿を象った人形を木に打ち付けて、呪いをはらしたといわれています。
呪いの杉は樹齢1,000年を超えるほどの大樹だったらしいのですが、震災後に無くなってしまったようです。
大山の伝承によると「今は参道に生えた2本の杉がその面影を残している」とのことですので、先程もご紹介した夫婦杉がそれに当たるのではないかと言われています。
ちなみに、現在二重の滝近くに生えている樹木はどうやらこの近くの社「二重社」の御神木なのだそうです。
こま参道
二重の滝から阿夫利神社に出て、女坂・男坂、もしくはケーブルカーを使って下山すると、こま参道を通ることになります。
こちらでは宿での寝泊まりやお土産などの購入が可能となっており、お昼前後からたくさんの人で賑わっています。
茶屋なども立ち並んでいますので、登山前後にこちらで一服してもいいかもしれませんね。
大山へのアクセス
新宿駅から電車とバスを使って大山へアクセスすると想定した場合、その方法は下記のようにシンプルなものとなっております。
①新宿駅
→小田急線 小田原行き 乗車
→伊勢原駅 下車
乗車時間 約1時間 運賃597円
②伊勢原駅北口バス停
大山ケーブル行きバス 乗車
大山ケーブルにて下車
乗車時間 約30分前後 運賃320円
合計乗車時間 約1時間30分
合計運賃917円
大山の観光15選スポット・まとめ
大山は壮大な景色に加え、伝統的な建物や七不思議スポットなど、見どころ満載の山といえますね。
登山をご計画されているのであれば、ぜひ今回ご紹介したスポットにお立ち寄り下さい!