秩父にある謎の暗号石とは?秩父の奇人・「即道」の伝説を調査してきた

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日本の歴史には様々な偉人達が存在しましたが、表立って語られることのない人物もいます。

例えば、様々な伝説が残る地である、埼玉県・秩父エリアには、「奇人・即道」と呼ばれる人物の伝承が語り継がれているのです。

即道は常人では考えられない身体能力を持ち、さらに現代でも解析不能な暗号を石に刻んだと言われています。

今回は、そんな即道の暗号石を実際に調査してきましたので、彼の伝説と一緒にご紹介したいと思います。

秩父の伝説「奇人・即道」とは?

画像:秩父の即道

即道とは、1688年から1703年の間に存在していたと言われている人物で、当時は秩父の薬師堂と呼ばれる場所に住んでいたそうです。

ちなみに、彼は後に出家して即道神社の僧侶になったそうで、その前は「六兵衛」と呼ばれていたそうです。

そんな即道ですが、前述通り様々な伝説を残しています。

即道の伝説的エピソード

・秩父から江戸へ半日ほどで往復

・お湯を沸かす間に薬師堂から武甲山に登って帰ってくる

・自身の爪で暗号石(爪彫石)を造る

・2メートルの薬師如来像を一夜で彫る

etc…

即道の伝説① 秩父→江戸を半日で移動

即道は、常人とはかけ離れた俊足だったらしく、一日で何十里も移動することかできたと言われています。

著書・秩父の伝説(2007)によると、かつて薬師堂周辺で祝儀があったらしく、秩父では入手困難な鯛などの魚が必要でした。

そこで即道が江戸へ行き、夕方には魚を入手し、秩父へ戻ってきたと言われています。

画像:葛飾北斎 江戸日本橋
葛飾北斎 江戸日本橋

ちなみに、秩父から江戸までは往復200キロ以上の距離があり、当時は現代のように道路の整備などはされていません。移動手段も徒歩のみです。

42.195kmのフルマラソンの世界記録が1時間59分ですので、これを半日で約5回ほど繰り返す計算になります。

もし即道が現代に生きていたら、間違いなくオリンピックのトップアスリートになれますね。

即道の伝説② お湯が沸く前に武甲山へ移動

即道の俊足エピソードは他にも存在します。

即道即道

お湯が沸く前に武甲山の鐘撞き堂へ行き、鐘を鳴らしてくる

彼はこのようなことを言い放ち秩父の、武甲山に向かったそうです。

画像:秩父の武甲山
秩父・1295メートルの武甲山

その後、お湯が沸騰する間もなく鐘の音が響き、即道も帰ってきたそうです。

日本の伝説・民間伝承に詳しい近藤和吉氏(2006)は著書の中で、即道の尋常ではない快速から「人智を超えた能力が使えたのではないか」とも語っています。

即道の伝説③ 一晩で彫った薬師如来像

冒頭でも触れましたが、彼は後に即道神社の僧侶となり、名前も六兵衛から即道へと変わります。

ちなみに、即道神社は現在でも秩父に残っており、その痕跡を辿ることができます。

画像:即道神社
秩父の即道神社

私は実際に現地を調査してきたのですが、神社自体は住宅地の横にあり、外観は非常に小さいです。

この神社の左側の建物には、即道が約一か月で創り上げたといわれている「薬師如来像」が設置されています。

画像:即道神社の薬師如来像

一説では、かつてこの周辺の薬師堂に古い如来像が安置されていたのですが、即道がどこかへ持ち去ってしまったそうです。

その為、新しい如来像を造らされることになりますが、間違えて座像を造ってしまったのです。

その座像こそが、この薬師如来像といわれています。

※ちなみに、間違えて座像を造ったことを責められた即道は、今度は一夜にして2メートルの立像を造ったそうです。

その立像は今でもこの地域の薬師堂に安置されているそうです。

即道の伝説③ 暗号が刻まれた爪彫石

画像:即道神社の爪彫石

即道が残した最大の謎といえば、爪彫石が挙げられます。

この石は名前の通り、即道の爪で彫られたと言われており、暗号のような文字が刻まれています。

こちらも実際に即道神社で観ることができますが、左回りの円に沿って文字が刻まれており、下記のような内容が描かれています。

・歌

・所願

・由来

・享保二年正月元年(1717年)

これらの細かい意味や詳細は未だに解読されておらず、この石の謎を解いた人こそ、即道の再来であるといわれています。

ちなみに、この石は油石という重く堅い素材で出来ており、即道が富士山を参拝した際に持ち帰ったと伝えられています。

石の重さは約500キロ、長さは90cmはあるそうです。

即道神社へのアクセス

爪彫石や薬師如来像が安置されている即道神社ですが、東京から電車でアクセスする場合は下記の方法がおすすめです。

新宿から即道神社へのアクセス方法

①新宿駅
→山手線・池袋、上野方面行きに乗車
→池袋駅下車

②池袋駅
→西武池袋・秩父線 飯能行き乗車
→飯能駅 西武秩父駅行きに乗り換え

③西武秩父駅
→秩父鉄道 御花畑駅へ移動(徒歩約5分)

④御花畑駅
→秩父鉄道 影森行き乗車
→影森駅下車
→三峰口行き乗車
→武州中川駅下車

運賃計1,235円 約2時間30分 乗り換え5回

武州中川駅からは大通りを影森方面へ一直線に進み、徒歩約15分程で到着します。

ちなみに、武州中川駅のある秩父鉄道には、関東有数の秘境てもある長瀞渓谷や橋立鍾乳洞なども点在しています。

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即道の伝説・まとめ

以上が即道にまつわる伝承についてでした。

即道の伝説は大変面白いのですが、秩父にはこのような民間伝承がまだまだ沢山存在しています。

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興味のある方は、これらの不思議スポットを巡りながら秩父観光をされてみてはいかがでしょうか!