関東地方の由緒ある神社「鹿島神宮」をご存知でしょうか?
秩父の三峯神社や東京の明治神宮など、関東には多種多様な神社が存在しますが、その中でも茨城県「鹿島神宮」は2000年以上の圧倒的古い歴史を誇ります。
かつて徳川頼房が送った「日本三大楼門」や天然記念物に指定されている「鹿島神宮の森」、「七不思議スポット」など、たくさんの見どころが点在しています。
今回はそんな鹿島神宮の境内や周辺観光スポットの見どころ、その歴史などをご紹介いたします。
鹿島神宮の歴史
鹿島神宮は関東地方でもかなり古い歴史を持つ神社で、今から約2680年前に創建されたと言われています。
非常に格式の高い「神宮」の名前を持っており、かつてこの「神宮」を名乗ることを許された神社は、以下の3つしかありませんでした。
当時の神宮
・鹿島神宮
・伊勢神宮
・香取神宮
その歴史の深さと「神宮」の称号からも想像できるように、今でも数多くの人々が観光やお参りに訪れます。
また、鹿島神宮には徳川家から贈られた本宮(現在の奥宮)や、周辺地域の「西の一之鳥居」など、見どころ満載となっており、東京からであれば日帰り観光なども可能なのです。
鹿島神宮の神様を分かりやすく解説
鹿島神宮の見どころをご紹介する前に、軽くご祭神にも触れておきましょう。
鹿島神宮に祀られている神様「タケミカヅチ」は、かつて日本の国譲り神話に出てきた人物の一人です。
ザックリ言ってしまうと、地上の国「豊葦原中国(あしわらのなかつくに)」をオオクニヌシと呼ばれる神様からアマテラスへと譲らせた人物です。
タケミカヅチによる国譲りの流れ
①アマテラスの命によりオオクニヌシと呼ばれる神の下へ派遣される。
②地上の国「豊葦原中国(あしわらのなかつくに)」を譲るよう交渉する
③オオクニヌシを説得した後に、怪力で知られている彼の息子「タケミナカタノカミ」と力比べで勝負する
④剣の神と称されるタケミカヅチは想像以上に強く、タケミナカタノカミを圧倒
⑤最終的にタケミナカタノカミを諏訪地方へと追い詰め、国譲りを約束されます。
これは「国譲り」という神話で今でも語り継がれており、タケミカヅチは武神として今も崇拝されているのです。
ちなみに、タケミカヅチに敗れたオオクニヌシの息子「タケミナカタノカミ」は諏訪地方から出ない事を約束されたため、現在は長野県「諏訪大社」の神様として祭られています。
こちらをより詳しく解説した記事を公開していますので、興味のある方は下記も合わせてお読みください。
関連記事:鹿島神宮の神様「タケミカヅチ」とは?鹿島神宮と○○を繋ぐと現れるレイラインと神話を解説
鹿島神宮のミステリー「レイライン」
鹿島神宮は日本でも珍しい「レイライン」と呼ばれる場所に位置しています。
レイラインとは世界各地で確認されている現象で、地図上に様々な歴史的構造物や由緒あるスポットが直線上に配置されているといったものを指します。まさに世界最大級のミステリーでもあるのです。
日本の場合は、ニニギという神様が降り立った宮城県「高千穂」から「鹿島神宮」を一本の線で結ぶと、下記のような由緒あるスポットが一直線に浮かびあがります。
神様が降り立った高千穂から始まり、そのきっかけを作ったタケミカヅチを祀る鹿島神宮で終わる…
もしかすると、この配置には何か不思議な意味があるのかもしれませんね。
レイライン上にあるスポット
・高千穂
・剣山
・伊勢神宮
・富士山
・明治神宮
・皇居
・鹿島神宮
ちなみにこのレイライン上を通る東京の隠れたスポットに、東京都の「将門塚」や「岡本八幡神社」などもありますが、それはまた別の記事で解説したいと思います。
平将門の怨念は今も存在する…東京の最恐スポット「将門塚」を調査してきた。歴史も併せてご紹介
鹿島神宮の境内のスポットと見どころ
鹿島神宮の歴史背景や神様にまつわる神話をお伝えしましたが、ここからは鹿島神宮の観光スポットや、見どころについて解説していきます。
鹿島神宮は主に、お参りをする拝殿がある境内と、参道や不思議スポットがある「鹿島神宮の森」と呼ばれるエリアが存在します。
まずは、鹿島神宮境内の主な見どころをご紹介していきます。
鹿島神宮境内の観光スポット
・大鳥居
・日本三大楼門(重要文化財)
・大助人形
・本殿・拝殿(重要文化財)
・御神木
大鳥居
鹿島神宮の入口にそび立つ巨大な木造鳥居。
元は石でできた鳥居が立っていましたが、東日本大震災の影響て倒壊し、現在のものへと作り変えられました。
ちなみに現在の鳥居には、後ほどご紹介する「御手洗池」付近の樹齢約600年の樹木が使用されているそうです。
温かみのある木造鳥居と、600年もの長い歴史が詰まった素材によって、鹿島神宮を訪れる人を最初に魅力するスポットと言えるでしょう。
日本三大楼門
1634年に徳川頼房(とくがわよりふさ)により贈るられた「日本三大楼門」は、国の重要文化財にも指定されています。
福岡県の筥崎宮、熊本の阿蘇神社などの観光スポットにある楼門と並び、日本三大楼門に数えられています。
鹿島神宮の楼門は、赤塗り・2階建ての美しい仕上がりとなっており、境内へ入る直前に拝むことができます。
大助人形
日本三大楼門を通り鹿島神宮境内に入ると、まず最初に少し奇妙なオブジェクトが目に入ります。
これは大助人形(おおすけにんぎょう)と呼ばれる、日本の特定地域に存在する風習です。
その昔、鹿島の神様が東北を平定した際に、それを手助けした兵士の姿を象っていると言われています。
よく見てみると各藁人形に竹の弓のようなものが刺さっていますね。
また伝承などでは、村の堺に人形を置くと、集落への厄災や病気などを防ぐとも言われています。
民俗学的であり、それでいて少し不思議な鹿島神宮の見どころの1つと言ってもいいでしょう。
関連記事:【民俗学】日本に伝わる不思議な風習・行事14選!道端のアレは〇〇だった…【随時更新】
鹿島神宮・拝殿
こちらは鹿島神宮の拝殿で、先ほどもご紹介した「タケミカヅチ」をご祭神として祭っています。
石造りの鳥居と、古い日本家屋のような造りとなっており、非常に伝統的な雰囲気をかもし出していますね。
この拝殿の奥には、以下の3つの建物が連なっている形になっており、比較的珍しい造りとなっています。
本殿
石の間
幣殿
これらは後ほどご紹介する「西の一之鳥居(水上鳥居)」と同様、1619年に徳川秀忠によって、鹿島神宮へと贈られたと言われています。
また、本殿を修理する際などは、こちらの仮殿が一時的に使われるそうです。
これらの伝統的な建物と独特な雰囲気は、鹿島神宮の際の見どころの一つでもありますね。
鹿島神宮境内を観光される際は、是非最初にここでお参りをしましょう!
御神木
鹿島神宮の拝殿の裏には、樹齢1300年を超える巨大な御神木がそびえ立っています。
拝殿や本殿の中には入れないので、間近くで見ることは出来ませんが、拝殿の敷地内に立つ非常に珍しい御神木ですね。
その高さはなんと40メートルほどあるそうです。
鹿島神宮の森エリアの見どころ
続いては不思議スポットや自然豊かな参道、天然記念物にも指定されている「鹿島神宮の森」と呼ばれるエリアをご紹介していきます。
鹿島神宮の森は拝殿の奥に入口があり、20万坪の広大な敷地内と800種類以上の草木に覆われています。
その鹿島神宮の森の見どころは以下の通りです。
鹿島神宮の森・観光スポット
・奥参道
・鹿園
・さざれ石
・奥宮
・御手洗池
・要石
ここからは先程の「大助人形」のように、少し不思議な観光スポットが増えていきます。
奥参道
鹿島神宮の森は、基本的に参道をひたすら歩き、その途中に不思議スポットが点在しているといった具合です。
そしてこの参道、かなり広いです。写真では一直線に道が続いていますが、さらに奥へと続く道や別の参道もあり、非常に広大です。
しかし、天然の草木に囲まれた鹿島神宮の森は、日々の疲れを癒やしてくれますね。
空気がかなり新鮮ですので、歩いているだけでも癒やされます。
鹿園
奥参道の途中に、鹿園とよばれる場所があり、ここでは餌を購入すると鹿と触れ合うことができます。
鹿島神宮では、鹿は神の遣いとされているらしく、いかにこの場所で「鹿」が大切にされていのかが分かりますね。
神社では比較的珍しい、「動物と触れ合える場所」といった意味では、鹿島神宮観光の際の見どころの一つでもありますね。
さざれ石
日本国旗を模した石碑の隣にある「さざれ石」。
日本の国歌「君が代」にも、その名前の一部が歌われています。
もちろん人工的にできた石ではなく、長い時間をかけて小さい石が集まり、形成されたと言われています。
鹿島神宮・奥宮
鹿島神宮の見どころの1つに、「奥宮」があげられます。
こちらは1605年に徳川家康から鹿島神宮本宮に本殿として贈られたものです。
しかし、1619年に息子の秀忠により、現在の社殿でもある新しい本殿が送られました。
そのため、家康が贈った本殿は現在の鹿島神宮境内からこの奥宮へと移動されたと言われています。
埼玉県の秩父神社や日光東照宮のように、徳川家康が関係する神社は関東地方の至るところで見られますね。
関連記事:日光東照宮のミステリーとは?不思議スポット4選の見どころ+歴史を解説します
これより先の観光スポットへ進む際は、こちらでお参りしてから訪れてみてはいかがでしょうか。
御手洗池(みたらしいけ)
鹿島神宮には、古くから「七不思議」が語り継がれており、それに由来するスポットもいくつか存在します。
この少し奇妙な雰囲気をかもし出している「御手洗池」もその見どころの1つであり、鹿島神宮の人気観光スポットとしても知られています。
鹿島神宮の言い伝えによると、御手洗池はかつて鹿島神宮に祭られている神様が天曲弓(あまのまがゆみ)とよばれる道具を用いて掘った池と言われています。
その後一夜にして水が湧き出し、どんな旱魃(かんばつ)が起きても決して枯れることがない、霊泉と言われています。
こちらの見どころは、透き通るような水とその上に浮かぶ鳥居、さらに神聖な草木に囲まれた神秘的な雰囲気がなどが挙げられます。
またこの御手洗池に浸かると、子供であっても大人であっても、胸の辺りまでしか水位が上がらないとの伝説かあるそうです。
ちなみに、かつては鹿島神宮への参拝者は、まず最初にここで身を清めていたらしく、それが「御手洗池」の名前の由来にもなったそうです。
要石・大鯰の秘
個人的に、鹿島神宮で最も面白い見どころ・ミステリアスな言い伝えが残るスポットと言えば、こちらの「要石」が挙げられます。
鹿島神宮の森の奥にひっそりと建っている小さい鳥居と、要石を守るように囲っている石の柵が特徴的です。
かつてこの地では大ナマズが地震起こすと信じられており、この要石はその大ナマズの頭を押さえていると言われています。
石自体は地中から頭だけ飛び出した状態になっています。
また、徳川光圀がこの要石を掘り返してみたところ、以下のような結果になったと言われています。
・深すぎて1週間経っても掘り起こすことが出来なかった
・発掘中に怪我人が続出(結局発掘作業は途中で断念)
これらの伝承も面白いですが、要石は鹿島神宮の最も奥に位置しているので、最後の見どころでもあります。
ナマズ繋がりなのかは分かりませんが、近くには「大鯰の秘」とよばれるモニュメントもありますので、合わせて訪れてみてはいかがでしょうか。
鹿島神宮周辺の観光スポット
これまでご紹介した通り、鹿島神宮の境内や七不思議エリアは非常に見どころ満載なのですが、その周辺の観光スポットも注目を集めています。
鹿島神宮単体であれば、1時間30分〜2時間もあれば周ることが可能ですので、是非とも下記の周辺観光名所もチェックしてみて下さい。
西の一之鳥居
鹿島神宮周辺の東西南北には、それぞれ「一之鳥居」というものが建てられています。
特に西側に位置する「西の一之鳥居」は、非常に美しい水上鳥居となっており、そのスケールは日本最大級とも言われています。
西の一之鳥居の特徴
・高さ18.5メートル
・幅22.5メートル
・1618年に徳川秀忠により奉納
ちなみにこの西の一之鳥居は、鹿島神宮から約2.3kmの場所に位置しており、アクセスするには徒歩約30分ほどかかります。
しかし、鹿島神宮とは対照的に観光客がほとんどいない為、河川敷でゆっくりと鳥居を鑑賞できます。
特に夕暮れ時の西の一之鳥居は非常に幻想的ですので、鹿島神宮を観光される際は、ついでに足を運んでみてはいかがでしょうか。
鹿島城山公園
鹿島城山公園は、鹿島神宮から徒歩でも約10分程でアクセスできる場所に位置している公園です。
園内は意外と広く、家族連れの方々も多く見られました。
しかし、鹿島城山公園の奥に行くと、意外な絶景を見ることができます。
今回鹿島神宮へのアクセスに使ったJR鹿島線や、西側へ渡るための水上道路、田舎道に囲まれた民家など、様々な景色を観ることができます。
また、鹿島城山公園の名前の通り、ここにはかつて鹿島城址(かしまじょうし)というお城が建っていたらしく、その記念碑などもおかれています。
周りの土地よりも高い位置にあるので、お城を建てるには絶好の地形だったのでしょうね。
鹿島城山公園は駐車場もあるので、鹿島神宮観光の前後どちらかで訪れたいスポットの一つですね。
鹿島神宮へのアクセス
東京の新宿から鹿島神宮へアクセスする場合、1番楽な方法として下記がおすすめです。
JR線でアクセス(約2時間40分)
①新宿→錦糸町(JR中央総武線各駅)
②錦糸町→成田(JR総武本線快速)
③成田→香取(JR成田線)
④香取→鹿島神宮(JR鹿島線)
計1980円
往復だと約4000円近く掛かりますが、青春18切符などを活用すれば往復2410円でアクセスする事も可能です。
※注意点としては、香取から鹿島神宮への電車は1時間に一本程度しか出ていないので、計画的にアクセスするようにしましょう。
鹿島神宮観光の見どころ・まとめ
以上が鹿島神宮の見どころと、周辺観光スポットのご紹介でした。
不思議な伝承と壮大な景観が残る鹿島神宮は、関東圏でも非常に魅力的な観光名所の一つですね。
この機会に是非とも一度訪れてみてはいかがでしょうか!
もし鹿島神宮と同じレイライン上に位置する観光スポットに興味のある方は、下記の記事もオススメですので、ぜひ併せてお読みください。