東京・千駄ヶ谷に鎮座する「鳩森八幡神社」
1000年以上前に創建されたともいわれている由緒正しき神社ですが、境内には富士山を再現した文化財「富士塚」と呼ばれるスポットや有名棋士も訪れる「棋堂」など、様々な見どころが点在しています。
今回はそんな鳩森八幡神社の見どころ、ご利益などを詳しくご紹介していきたいと思います。
鳩森八幡神社の歴史
鳩森八幡神社は神社は、かなり古い時代から存在しているらしく、一説では1000年以上前に創建されたともいわれています。
実際の真偽は不明ですが、伝承の中では下記のような歴史が語られています。
『江戸名所図会』によると大昔、此の地の林の中にはめでたいことが起こる前兆の瑞雲(ずいうん)がたびたび現れ、ある日青空より白雲が降りてきたので不思議に思った村人が林の中に入っていくと、突然白鳩が数多、西に向かって飛び去った。この霊瑞(れいずい)に依り 神様が宿る小さな祠(ほこら)を営み鳩森『はとのもり』と名付けた。
鳩森八幡神社 公式ホームページ
ちなみに、鳩森八幡神社は後に応神天皇、神功皇后などの天皇家を御祭神として祀り、また江戸時代中期には「富士塚」が境内に造られました。
鳩森八幡神社と日本の富士山信仰
当時の日本では「富士講」と呼ばれる富士信仰が流行しており、この鳩森八幡神社以外の地域でも広く信仰されていました。
例えば、特に山梨県の富士山の麓「忍野八海」という場所では、その痕跡が今なお非常に強く残っています。
関連記事:伝説の村「忍野八海」が凄すぎる!観光の見どころ10選と歴史を解説
このように、富士山は当時の人々から根強い信仰を集めており、そしてこの鳩森八幡神社の富士塚はそれを象徴するようなスポット、また「富士山信仰」を身近に体感できる場所へと変化していきました。
鳩森八幡神社の観光スポット
近頃はパワースポットなどとも呼ばれている鳩森八幡神社ですが、古くから村民によって崇拝されてきた場所であると同時に、普通の神社にはない「ユニークな見どころ」が多数存在します。
渋谷区の保存林に指定されている樹木や、東京都の有形民俗文化財にも登録されている「富士塚」など、境内にはさまざまなスポットが点在しています。
そのため、プチ観光目的で訪れる人も少なくありません。
ここからは、そんな鳩森八幡神社の見どころを一つ一つ分かりやすく解説していきたいと思います。
鳩森八幡神社の御社殿
1845年に建造された鳩森八幡神社の「御社殿」
一般的な神社は神様を御祭神として祀るケースが多いですが 、鳩森八幡神社では応神天皇と神功皇后を祀っています。
また、こちらの御社殿はかつて戦争の影響により一度消失していますが、その後は復興作業が行われ、1993年6月に現在の姿(元の型)へと修繕されました。
付近には手水舎や社務所などもありますので、最初にこちらでお参りを済ましてから境内を回ってみてはいかがでしょうか。
また、こちらでは七五三や結婚式、成人式などを実施しているだけではなく、合格祈願や安産祈願等のご祈祷なども行えるそうです。
これらのご利益を得たい方は、是非ともこちらの社殿にてご相談されてみてはいかがでしょうか!
御神木
先ほどもお伝えした通り、この鳩森八幡神社は第二次世界大戦によるダメージを受けましたが、この巨大な御神木は運よくその戦災を逃れたといわれています。
出入り口付近にそびえ立つ大銀杏の樹木は、近隣住民やサラリーマン、参拝客の憩いの場としても親しまれているようです。
将棋堂
1986年に建てられた「将棋堂」
六角形のお堂の中に巨大な将棋の駒が置かれており、全国的にも類を見ない珍しい造りとなっています。
こちらはかつて日本将棋連盟と神社側が共同で製作したものらしく、将棋の繁栄・技術向上の守護神的な役目を担うといわれています。
趣味で将棋を打つ方などには、是非ともお参りしていただきたいスポットとなっています。
富士塚
実際の富士山を模して制作された「富士塚」
1789年に土を盛り上げ築造された富士塚は、実際の富士山一合目から山頂までの名所を再現しており、それらを歩きながら一周することができます。
ちなみに、こちらは実際の富士山に登るのと同じご利益が得られるともいわれています。
また、この富士塚は都の有形文化財にも指定されており、大変貴重な造形物となっているのです。
↑一合目〜二合目の間に位置する里宮
↑二合目〜三合目の亀岩
↑四合目〜五合目の小御嶽石尊大権現
↑五合目〜六合目の食行見禄像
↑七合目〜八合目の鳥帽小岩
↑山頂前の釈迦の割れ石
↑山頂の奥宮
この頂上付近には「黒ばく」と呼ばれる富士山の溶岩が配置されています。
↑山頂の金明水
↑山頂の銀明水
↑山頂から観た鳩森八幡神社の境内
これらのスポットは10分ぐらいで回れますので、ご老人などでも気軽に登ることができます。
実際の富士山へ登山予定の方にとっても非常に勉強になりますので、ぜひ訪れてみて下さい。
甲賀稲荷社
御神木の横に位置する「甲賀稲荷社」
元々は都内の青山権田原と呼ばれる別の場所にて鎮座していたらしく、さらに江戸伯父の武装組織「甲賀組」と呼ばれる組屋敷の武士たちから信仰されていたそうです。
1885年にこの鳩森八幡神社へ合祀されると同時に社殿も移されましたが、後に戦争による被害を受け焼失してしまいました。
後の1970年には復興作業により、現在の社が建てられたそうです。
神明社
甲賀稲荷社と同様に、かつては都内の権田原に建てられていた「神明社」
あたりを竹に囲まれる形で鎮座している小さな社ですが、1908年にこの鳩森八幡神社の末社となったそうです。
能楽殿
富士塚の横に建てられている「能楽殿」
伝統芸能である能の公演が行われたり、他のイベント時にも使用されるそうです。
庚申塚
境内の外側に設けられた「庚申塚」
こちらの名前にもなっている「庚申」は干支の57番目の組み合わせとしても知られていますが、もともとは中国の道教から伝わった教えなのだそうです。
昔の中国では、60日もしくは60年毎に訪れる庚申の日の夜に「三尸(かばね)」という虫が睡眠中の人の体から現れ、天帝にその人の犯した罪を報告されるといわれています。
そのため、人々はこの庚申の日の夜は眠らず、真面目に過ごしたそうです。
この概念は「庚申講」と呼ばれ、中世以降の日本にも渡ったのですが、地域によっては今なお信仰されているのです。
ちなみに、この庚申塔(塚)は1723年の庚申の日に建てられ、日本の民間信仰の一つ「道祖神」としての役割を担っているといわれています。
この類の民間信仰や伝統行事に興味のある方は、下記の記事もお読み下さい。
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鳩森八幡神社へのアクセス
鳩森八幡神社へのアクセスは非常に簡単です。
最寄り駅は中央線の「千駄ヶ谷駅」、もしくは東京メトロ副都心線の「北参道駅」となっており、電車でも徒歩でもアクセスが可能な距離となっています。
新宿から電車を使うと仮定した場合、各最寄り駅へのアクセス方法は下記の通りです。
①新宿駅
→JR中央総武線 千葉行き
→千駄ヶ谷駅 下車
乗車時間 約5分 運賃136円
②新宿駅
→東京メトロ副都心線 池袋行き
→新宿三丁目駅 下車
→東京メトロ副都心線 元町・中華街行きに乗り換え
→北参道駅 下車
乗車時間 約10分 運賃168円
ちなみに、新宿駅から歩く場合でも約20分ほどで到着しますので、時間に余裕のある方は散歩がてら徒歩でアクセスしてみてはいかがでしょうか。
鳩森八幡神社の観光スポット・まとめ
以上が鳩森八幡神社についてのご紹介でした。
都心部とは思えない落ち着いた立地環境ということもあり、気軽に足を運ぶこともできますね。
神社とは思えない見どころが多数点在していますので、近くに訪れる予定のある方は是非ともお立ち寄りください。
ちなみに、鳩森八幡神社からは原宿や明治神宮、東郷神社などの名所へも徒歩でアクセスできますので、興味のある方はこちらもチェックしてみて下さい。