北海道という言葉を聞いて、どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか?
北海道は緑豊かな自然、広大な大地、美味しい食べ物、元気な動物など、魅力がたくさん詰まっている土地として知られています。
そんな北海道の魅力に惹かれ、本州から毎年たくさんの人達が移住してきます。
私は生まれも育ちも北海道。牧場で働く家族の元で幼少期を過ごしてきました。
そのため、日本各地から移住されてきた人達の話を幼少期から見聞きしており、移住に対して強い興味関心を持っていました。
今回はそんな私が実際に見聞きした中で、印象的だった「北海道の移住体験談5選」をご紹介したいと思います。
牧場を営む父と移住を繰り返していた私
北海道へ移住してきた方たちの体験談をお伝えする前に、私の経歴を軽く紹介させていただきます。
私の出身は、北海道の南側「新ひだか町静内」という小さな町です。
私が子供の頃は、競走馬のオグリキャップや武豊の活躍により、第二次競馬ブームが到来していました。
その影響により、北海道の競走馬関連の牧場は大いに盛り上がり、経済的に豊かな時代でしたね。
その頃、私の父は競走馬の生産・育成の仕事をしており、色々な牧場に雇われながらの仕事をしていました。
それに伴い、私たち家族は道南の様々な地域を移住する生活を送っていました
その時に私が体験した牧場での業務や仕事内容については、別の記事で詳しく解説していますので、下記も併せてご覧ください。
関連記事:【体験談】牧場での仕事内容や働くメリットとは?牧場育ちの私が解説します
牧場生活から動物管理職になるまで
子供の頃の私は、牧場の仕事が好きで父の手伝いをしていましたが、高校生の時に都会での仕事に憧れ、卒業後は札幌の専門学校へ進学しました。
しかし、なかなか都会の生活に慣れなかったため、地元に戻りレンタル店のバイトなどをした後、現在は農業高校の畜産動物管理(牛・馬)の仕事を行っています。
北海道の牧場に魅了され、東京から移住してきた女性大学生Aさん
ここからは私が実際に北海道へ移住してきた方達から聞いた、リアルな体験談をお話していきます!
私が子供の頃、東京農業大学の女子生徒さん達3人が、父が勤務する牧場に訪れてきました。
1ヶ月の夏休み期間を利用し、馬の研究の為に牧場の仕事を手伝っていましたが、やはり牧場での業務は体力勝負…都会から来た彼女らにとっては非常にキツイ仕事だったようです。
日が経つにつれ、生徒さん達は心身ともに辛くなっていき、地面に座り込んだ彼女らを牧場の方たちが優しく励ます時もありました。
ただ、生徒さん達の中で一人だけ牧場の仕事に興味を注ぎ始めた方がいました。
埼玉県出身の女性で、名前はAさん。男でも辛くなる馬フン拾いなどを積極的にこなしており、いつも楽しそうに牧場の仕事に向き合っていました。
夏休み期間が終わると、Aさん含め大学生の方たちは東京へ帰っていきましたが、翌年Aさんは大学を卒業した後、再び北海道に移住してきました。
「牧場が楽しくて、空気が美味しいから」
Aさんは移住された理由をこのように語られていました。
また、夏休み期間中の牧場での生活も、Aさんにとっては非常に感動的な体験だったらしく、下記のような魅力にも惹かれたそうです。
Aさんが北海道移住を決めた理由
・牧場の人たちの優しさ
・馬と常に一緒にいられる環境
・埼玉や東京では味わえない気持ちいい風や空気
夏休み後に本州に帰った後も、これらの感動を忘れられず、また体験したくなったそうです。
ちなみに、Aさんが東京農業大学に入ったのは獣医師になる為だったらしいのですが、牧場体験で馬を扱う厳しさを学び、移住する頃には獣医師の目標は諦めたそうです。
Aさんは移住後はしばらく色々な牧場で働き、現在は北海道の男性と結婚し、子供を出産。時間あるときは家族で道内を旅行しているそうです。
「北海道のカニとイクラの味」で移住と結婚を決心・女性会社員Bさん
私が高校生の頃、同級生のお兄さんが結婚をしました。
お兄さんの結婚相手であるBさんの出身地は香川県で、県内の保険会社で勤務されていました。
そんな時、北海道の支社との交流の場で、私の同級生のお兄さんと出会ったそうです。
お兄さんとBさんは相性が良かったらしく、会話も弾み意気投合。お兄が地元の魅力を語るうちに、Bさんが北海道に興味を持ち始めたそうです。
その後二人で旅行をすることになり、Bさんはついに北海道へ訪れます。
「北海道はどこでも海鮮料理が美味しい」
お兄さんは元々このような話をBさんにしていたので、二人は最初に寿司屋に入り、「いくら」と「カニ」を頼みました。
その時、Bさんは美味しすぎる「いくら」と「カニ」の味に心底驚いたそうです。
Bさんが今まで食べてきた「いくら」と「カニ」の味は、人工加工物だけだったので、生の味に衝撃を覚えたそうです。
旅行後もしばらくその味の感動が忘れられず、またお兄さんとの相性も良かったので、結婚と同時に北海道への移住を決めたそうです。
2人はその後も幸せな結婚生活を送っており、定期的に地元の回転寿司に訪れているのを今でも見かけます。
関連記事:北海道グルメにこんな歴史が‥地元民が解説する北海道の絶品グルメ料理✕開拓史!
「北の国から」に憧れて北海道へ移住してきた男性Cさん
私が以前レンタル店のバイトをしていた時に、東京から移住してきたCさんが一緒に働いていました。
Cさんは北海道での生活を子供の頃から夢みてたらしく、20代の頃に貯金を行い、30代半ばで一大決心をして移住されてきました。
なぜ東京育ちでありながら北海道に憧れたのかを聞いてみると、当時流行していたドラマ「北の国から」に影響を受けたそうです。
雪の中を自由に遊んでいる映像を子供の時に観て、「同じことができる北海道に行ってみたい」と強く感じた事がきっかけだったそうです。
本当は「北の国から」の撮影地、富良野に住みたかったらしいのですが、家庭の都合により、最終的には私の地元に移住されてきました。
北海道の冬は想像以上に寒く…
周りをビルや建物で囲まれた環境で生まれ育ったCさんは、移住して最初の1ヶ月はホームシックに陥ってしまったようです。
また、雪や寒さが厳しい時期に移住されてきたので、雪かきによる体力の低下、道路の凍結による転倒など、初めての経験ばかりで辛く感じたと語っていました。
しかし、近所の人がさりげなく声かけてくれたり、雪かきの際は周りに助けていただいたそうで、「都会には無い安心感」が心の助けになったようです。
生活に慣れ来た頃には、色々なことに興味を持ち始め、野菜の直売所などに自ら積極的に顔を出すようになったそうです。
「移住してから、東京にいた時より気持ちが楽になった」
Cさんはこのようにも語っており、今では彼自身で家庭菜園を持つようになったと聞いています。
トラック運転手を辞め、家族と北海道に移住した男性Dさん
私の知人に、長年長距離トラックの運転手をしていたDさん(60代)の男性がいます。
Dさんとの出会いは、私が札幌の専門学校に通っていた時、工場でのアルバイトがきっかけで知り合いました。
彼は宮城県出身の妻子持ちで、30歳過ぎより家庭を支えるために長距離トラックの仕事を始めたそうで、かれこれ30年近く運転手をしているそうです。
1年の内、指で数えるほどしか自宅には帰れないらしく、Dさんやご家族の気持ちを思い浮かべると、胸が締め付けられましたね。
そんなDさんが昨年、長距離トラックの仕事を辞め、老後に家族と暮らす場所として北海道へ移住されてきました。
「なぜ宮城県ではないのか?なぜ北海道なのか?」と彼に直接聞いてみたところ、
「すべてが優しく、ゆっくりしていて、家族との失った時間を取り戻せそうだった」
このように語られていました。
彼が現在住んでいるところは、十勝・帯広市の街から少し離れた静かな地域です。
家族との失った時間を取り戻すには、最適な場所に住んでいますね。
※ちなみに以前このサイトでは、十勝・鹿追町に移住され、農業体験をされた女性の体験談を記載していますので、北海道移住に興味のある方はこちらも合わせてお読み下さい。
関連記事:【体験談】都会女子が北海道で農業をしてみた・住み込みで地方移住して分かったこと
北海道の寒さに適応できず、移住を断念された男性Eさん
北海道へ移住をされた方たち全てが、楽しく過ごせているワケではありません。
地方への移住を志して訪れた方たちのなかには、自然や居住地の環境が合わなく、地元や出身地に戻られた方なども大勢います。
私が地元の商工会で知り合った男性Eさんは、奥さんと子供を連れて、群馬県から北海道へ訪れてきました。
Eさんは自然が好きで、青い空や緑に囲まれた環境を持つ北海道で、喫茶店を開くことを夢みていました。
そのお店の開店準備や移住の下見のため、私の地元に訪れていました。
Eさんが私の地元に滞在していた頃の季節は2月。北海道では冬の気温が一番寒く、それに慣れている道民でさえも、家から外に出るのがイヤになるぐらい寒い時期です。
また、雪の量も地域によっては非常に多くなり、雪かきをするだけで筋肉痛や汗だくになったりします。
想像以上の厳しい寒さと雪の量を体験し、Eさん家族は移住をあきらめて群馬県に帰ってしまいました。
北海道への移住失敗としてよくあることが「厳しい冬に適応できない」という事がよく挙げられます。
北海道や比較的寒い地域への移住を検討している方は、まず最初に冬の時期に現地を訪れてみることをおすすめします。
北海道への移住はこんな人にオススメ
北海道への移住は高い満足度共に大成功される方もいますが、逆にEさんのように環境に適応することが難しい方がいるのも事実ですね。
移住者の方たちと交流してきた私なりに、「こんな方には北海道移住はおすすめ」という内容でポイントを絞ってみました。
北海道移住をおすすめしたい人
・空気が美味しい自然のなかで、人生を過ごしたい
・収入が少なくても、楽しく過ごせる所に住みたい
・栄養価の高いものを安い値段でたくさん食べたい
・自分の体に優しい人生を送りたい
・毎日を思いっきり楽しんで生きたい
北海道に訪れる人たちを見てきた私が思うのは、「感覚的に北海道で癒され、移住への憧れを自然と抱く方が多い」といった印象が強いです。
もちろん移住者の方たちは、自身の出身地を嫌っているワケではなく、お盆や年末年始の長期休暇の際は喜んで地元に帰られます。
しかし、地元から北海道に帰ってくると、移住者の方々は揃って「北海道の方が安心する」と仰っていました。
北海道に住み慣れると、透き通った空気や自然などか精神的に落ち着くようです。
北海道に移住してきた人達の体験・まとめ
以上、私が直接見聞きした北海道に移住してきた方たちの体験談でした。
私が今まで出会ってきた移住者とその家族は、様々ことに興味が沸き、驚き、笑い、楽しんだり、時には悲しんだり、道民以上に感情豊かな毎日を過ごしています。
北海道で生まれ育った私よりも、移住者のみなさんの方が「北海道の楽しみ方」を細かく知っており、逆に勉強になることも多いです。
皆様が北海道へ移住する際に、この記事が役に立っていたたければ幸いです。
※もし北海道での暮らしや体験談などに興味のある方は、下記の記事も合わせてお読み下さい。