地方移住を検討している方の中には、広大な自然を生かして農業を営みたいと考えている方も少なくないかと思います。
「自然に囲まれた田舎暮らしがしてみたい!」
「都会から離れて静かに暮らしたい」
そう思ったことはありませんか?
しかし、地方・田舎暮らしの不安や仕事の悩みなど、様々な問題から「移住に対して一歩踏み出せない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな方々のために、都会出身の私が広大な北海道へ移住(農業研修)をして感じたリアルな体験談をお話します!
地方移住に悩んでいる方、農業に興味がある方の参考になれば幸いです。
北海道で農業始めたきっかけ
まず最初に、なぜ私が北海道で農業を始めたかというと、「人生で1度は田舎暮らしがしたかった」という単純な理由です。
そのときの私は京都出身の大阪在住者で、いわゆる「都会暮らし」しか経験したことがありませんでした。
大阪で仕事を始めてからは、朝から晩まで室内で仕事をし、帰ったらテレビを見て寝る…外出しても人は多く、高い建物に囲まれた環境に閉塞感を感じていました。
一応そこそこ仕事は楽しく、生活する上では全く不便はありませんでしたが、それと同時に下記のような悩みもありました。
何かが物足りない…本当にこのままの生活で良いのか?
日常生活を送る中で、このような思いも持っていたのも事実でした。
北海道の農業研修プログラムに出会う
その後、とあるきっかけにより仕事を退職し、次に何をしようかと悩んでいました。
それと同時にこの様なことを思いつきました。
ずっと憧れだった「田舎暮らし」をしてみよう。
その流れで移住や農業について色々と調べてみたところ、北海道に住み込みで農業研修ができるプログラムを見つけ応募しました。
その農業研修プログラムは、半年〜1年間かけて農業を経験しながら北海道に住むことができるという制度で、希望者には様々な支援を行ってくれていました。
例えばそのプログラムでは、住む家・車・職場(農家)を準備してくれており、身一つで参加できるといった手厚い制度だったので、私にとって北海道に移住を決める後押しにもなりました。
私が北海道移住を決めた理由
・都会を離れて一度は田舎暮らしをしたかった
・日常で物足りなさを感じていた
・北海道で手厚い支援制度を見つけた
私が移住した北海道十勝・鹿追町の様子
その後、期限付きで北海道へ移住した私は、人口約5000人の鹿追町で農業研修プログラムに参加することになりました。
鹿追町は十勝と呼ばれる地域で、下記のような特徴を持っています。
北海道・鹿追町の特徴
・14ある北海道のエリア(振興局)の中で一番大きい面積
・北海道でも酪農・農業が盛んなエリア
・北海道屈指の美食エリア
・四季折々の壮大な観光地
etc…
そんな魅力満載の十勝・鹿追町ですが、住宅が集まる区画以外は見渡す限り畑が広がっており、想像以上の田舎でした。
「すごいところに来てしまった…」
こんな感じで、最初はさすがにビックリしましたね笑
住宅が集まる場所には、スーパー・コンビニ・ホームセンターなどがあり、生活に困ることはありませんでしたが、ドラッグストアや100均などは隣町(車で15分ほど)まで行く必要がありました。
少し不便なところもありましたが、一応車があれば問題なく生活できるくらいの田舎でした。
※十勝は比較的移住者も多く、老後のセカンドライフの場として選択する方もいるようです。
関連記事:北海道への移住は幸せなのか?移住者の体験談5つがリアル過ぎて泣けた
北海道で実際に農業をしてみた体験談
ここからは農業体験時の細かなプログラムや作業内容について触れていきたいと思います。
私が北海道で農業を体験していた時、下記のようなタイムスケジュールで仕事をしていました。
農業体験時のスケジュール
7時:起床
8時:畑仕事
12時:お昼休憩
13時:畑仕事
17時:業務終了
また私が働いていた農家では、小麦・じゃがいも・豆・ビート・アスパラ・キャベツを栽培しており、業務内容は毎回違いましたが、おおまかに下記のような作業を行っていました。
農業体験中の業務内容
①畑の手入れ
②苗植え機械の補助作業
②農作物の収穫
では、これらの作業内容ををより詳しく解説していきます。
①畑の手入れ
1つ目の業務内容は「畑の手入れ」です。草抜き専用の農具を使って、除草剤では取り切れなかった雑草を自分たちで抜いていきます。
聞いただけだと簡単そうに聞こえるかもしれませんが、1日中外での作業になるので、初めの頃はかなりきつかったです。
私はもともと前職で立ち仕事をしており、体力にも自信があったのですが、それでも慣れない姿勢での作業になるため、もの凄い筋肉痛や疲労感がありました。
しかし、作業中にふと周りの景色を見渡すと、空気の澄んだ北海道の大自然が広がっていました。
この「大自然に囲まれた開放感の中での仕事」という感覚はとても気持ちがよく、都会で過ごしてきた私にとっては、非常に新鮮な体験でもありました。
②苗植え機械の補助作業
2つ目の業務内容は「苗植え」の補助作業です。
北海道の畑はもの凄く広大なため、苗植えは機械で行います。
しかし機械だけだと植え漏れや、まっすぐに苗が植えられていない事もあるので、機械の後を人が歩いてチェックし、手作業でしっかりと植えていきます。
田植えに関しては、このような補助的な作業を行っていました。
③農作物の収穫
3つ目の業務内容は「収穫」です。機械で収穫した作物は、その上で選定作業や箱詰めを行います。
また、アスパラなど機械での収穫が難しいものは、手作業で一つ一つ収穫していきます。
ちなみに、私が農作業の中で1番楽しかったのがこの収穫作業です!
手作業での収穫は体力的には大変でしたが、「農業をしている!」という感覚が一番感じられる瞬間でしたね。
北海道で農業を体験中に起きた変化
農業体験をして一番良かった事といえば、生活リズムが整うことですね。
農業は外での作業になるので、基本的に朝から日が暮れるまで仕事をしています。
そのため夜遅くまで残業ということはなく、家に帰ってゆっくりご飯を食べ、お風呂に入り、明日の仕事に備えて寝る、という規則正しい生活を送ることができました。
なので農業研修中は体調も非常に良好でした。
また収穫の時期には、農家で自家菜園をしている方から農作物をたくさん頂くことができたので、かなり野菜を食べるようになりました。
その際に野菜が長持ちする保存方法や、調理の仕方なども学ぶことができたので、ものすごく良い経験になったと実感しています。
農業体験をして良かったこと
・生活リズムの改善
・新鮮な農作物をもらえた
・素材の調理法を学べた
北海道に移住して感じたメリット・デメリット
ここまで農業体験プログラムの仕事内容をメインにお伝えしてきましたが、都会暮らしと田舎暮らしの違いなども気になるポイントの一つかと思います。
そこで私が実際に体験して感じた「都会」と「田舎」の生活の様子をメリット・デメリットを踏まえながらお伝えしたいと思います。
北海道は家賃が安い
北海道だけの話ではありませんが、田舎の方では家賃の安さは移住する際の大きなメリットになります。
私のように農業研修生には、無料で家が用意されていましたので、家賃は自室ゼロ円でした。
けれども公営住宅の場合などは、家賃は2~3万円(1人暮らし)ほどの物件が多かった印象があります。
私は北海道に移住してからお給料は減りましたが、家賃が安いので以前と変わらない生活水準で暮らすことができました。
やはり都心部と比較して、生活費でのメリットは非常に大きいと感じましたね。
北海道は食べ物がおいしい
北海道に移住するメリットの一つとして、「食べ物がめちゃくちゃ美味しい」ということが挙げられます。
私は農家で働いていたので、新鮮で美味しい野菜を日頃から食べていました。
また輸送費がかからないため、スーパーなどで旬の野菜を都会よりも安く購入することが可能です。
また北海道、特に十勝は下記のような絶品グルメが豊富に揃っています。
北海道の絶品グルメ
乳製品(チーズ、牛乳、ヨーグルト)
ジンギスカン
味噌ラーメン
豚丼
この様に、北海道は美味しい食べ物がめちゃくちゃ豊富でしたので、休日には行きたいお店に行って食べ歩きを楽しんでいました。
関連記事:北海道グルメにこんな歴史が‥地元民が解説する北海道の絶品グルメ料理✕開拓史!
北海道は車がないと生活できない
これは田舎暮らしのデメリットの一つでもありますが、「車がないと困る」を通り越して、「車がなければ生活ができない」と感じました。
というのも、職場やスーパーに行くにしても、交通手段が車しかないのです。
1人だったら1台の車で事足りますが、家族や子供がいる場合は少し大変かもしれません。
また、車での移動が基本になるので、外でお酒が気軽に飲めなくります。
友人や同僚と集まって飲食するときは、お酒を飲まない人が運転係になったり、運転代行サービスなども利用していました。
通勤電車に乗らなくていいメリットは大きい
交通手段の少なさはデメリットでもありますが、逆に車さえあれば家から目的地まで楽に行けるので、一概に悪いとも言えません。
朝の通勤で満員電車にも乗らなくてもいいので、私にとって車生活はとても快適でした。
特に田舎道では交通量も少なく、1本道で景色を見ながらドライブするのが気持ちよかったです。
北海道は自然のアクティビティが豊富
もう一つの田舎暮らしのデメリットとして、娯楽の少なさが挙げられます。
当たり前ですが、都会と比べると娯楽は圧倒的に少ないです。これは人にもよりますが、遊び回るのが好きな人にとっては、かなりデメリットになりますね。
しかし、大きな街にでれば映画館やカラオケ、おしゃれなカフェなどもありましたので、私は特に不自由だと感じませんでした。
それ以上に都会ではできない大自然を生かしたアクティビティが豊富でしたので、それらが好きな人にとっては、むしろメリットの方が大きいかもしれません。
もし北海道(十勝)のアクティビティや観光スポットに興味がありましたら、下記の記事も合わせてお読みください。
関連記事:地元民おすすめの【十勝観光スポット7選】と絶品グルメを徹底解説!
北海道で体験できるアクティビティ
・気球
・パラグライダー
・スキー
・スノボー
北海道へ移住する前に準備しておきたいアイテム・娯楽
ここからは私の経験を踏まえて、北海道・地方へ移住をする際に役立つアイテム・サービスをご紹介いたします。
娯楽の少ない田舎では、家の中で過ごすことも多くなりますので、どこでも映画を観れる動画配信サービスなどは非常におすすめです。
また、車などを含めた必須アイテムは下記の通りです。
移住時のおすすめアイテム・サービス
・動画配信サービス(Amazon Prime)
・wifi環境
・免許・車(4駆(4WD))
・暖房器具
ではこれらを一つ一つ解説していきます。
動画配信サービス(Amazon Prime)はかなりおすすめ
北海道の冬は雪がつもり、車での移動も厳しくなるので、家で行える楽しみを増やしておいた方がいいです。
私はAmazon Primeに入っていたので、家での娯楽は映画や音楽を聞くことでした。
Amazon Primeは月額制で映画や、音楽、アマゾン配達料無料などのサービスを利用することができます。
田舎では映画館やレンタルショップに行くにしても、時間やガソリン代を消費することになります。
そんなデメリットを差し置いて、好きな映画を好きな時に見れるのは、非常にありがたいサービスでした。
田舎暮らしを検討されている場合は、Amazon Primeへの加入を強くおすすめしますね。
ポケットwifi(wifi環境)
田舎では娯楽も少なくなるので、スマホでゲームをしたり、動画を観ることが多くなると思います。
動画は特に通信量が多くなるので、wifiに繋いでおいたほうが通信制限にもかかることなく、快適にネットを利用できます。
1人で利用される、もしくは期限付きの移住であれば、ポケットwifiなど持ち運べるタイプのものがおすすめです。
設置工事も必要ないので、移住前に準備しておけば、現地でネット接続する手間が省けます(筆者の家は予めwifiが繋がっていたので不要でしたが、そうでない物件もあるので…)。
運転免許・車
先ほどもお伝えした通り、車がなければ北海道での生活はかなり厳しいです。
北海道でなくても、地方移住を検討されているのであれば、まず免許をとることから始めましょう。これはもう必須ですね!
また北海道の場合は、車は4駆(4WD)が好ましいです。
雪が積もるので、雪道でも安心して走れる4駆の車を準備しておくと安心です。
暖房器具
北海道では、夏に冷房を使う習慣があまりない為、エアコンがついていない物件が多いです。
今では北海道の夏もそれなりに暑いですが、昔の名残もあって、エアコンなしの物件が多く残っています。
もし物件にエアコンもストーブも付いていない場合、冬に使う暖房器具を用意する必要があります。
※北海道の冬は暖房器具なしで乗り切るのは非常に厳しいですので、移住する際は必ず購入しておきましょう。
北海道での農業研修プログラムが終了・その後は…
ここまで半年間の農業研修プログラムを体験した私ですが、その後は大阪へ帰ることにしました。
北海道での生活は、自由で、開放的で大好きだったのですが、やはり「家族や友達の近くにいたい」という思いが強くなりました。
大阪に帰ってからは、リクルートエージェントなどの転職サービスにいくつか登録し、前職と同じ業種で就職活動を行いました(現在もその業種で働いています)。
しかし、今も「田舎暮らしがしたい」という思いは無くなっていません。
いつか自由に北海道や、他の地域など、色々なところに住んでみたいと考えています。
そのためには、どこでもできる仕事をする必要があると考え、現在は在宅でできる副業を行っています。
都会女子が北海道で農業をしてみた・まとめ
以上が北海道へ農業体験プログラムに参加し、短期で移住した私の体験談でした。
地方で農業に携わりたいという方、田舎暮らしがしたいという方など、いきなり1人で誰も知らない町に行くのは不安ですよね。
移住をしてみて、失敗したと思うこともあるかもしれません。しかし、それは人それぞれの感じ方次第でもあります。
私は田舎暮らしを体験した結果、都会に戻ってくる選択をしましたが、その時の経験が将来のことを考える上でとても役立っていると実感しています。
また今は各自治体で町おこしや、後継者育成のために移住者を受け入れる制度が整ってきていますので、昔に比べて移住の障壁は低くなってきています。
これを機会に、ぜひともチャレンジしてもてはいかがでしょうか!この記事が少しでも皆様の移住計画の参考になりましたら幸いです。
※もし田舎ではなく、北海道の都心部に興味のある方は、下記の記事も併せてお読みください。