近年、地方移住や田舎で開業をする人が増えてきました。
地方や田舎は面白いアイデアを持って起業、自営業、フリーランスなど、様々な形で活動をされている方もいますが、実際にはどのような環境下でお仕事を行っているのでしょうか?
今回は18歳から静岡の田舎で自営業をスタートし、人生の半分を個人事業主として仕事をしてきた私の体験談をお話したいと思います。
これから地方で開業、自営業をしたいと考えている方には特にお役立てできるかと思います!
地方(静岡)で自営業を始めた私の体験談
具体的な「地方×自営業」の体験談を解説する前に、まずは私の経歴をお話させていただきます。
私は静岡県にある高校を卒業後、カイロプラクティックと呼ばれる骨盤や身体の矯正を行う職に進みました。
最初はインターン活動を行いながら出張施術を中心に自営業として仕事を始め、その後は23歳で静岡県にて店舗をオープンしました。
現在も子供2人を育てながら店舗を営んでいます。
地方で自営業を始めたきっかけ
自営業を始めたきっかけは、高校卒業後の進路の1つとして軽く考えスタートしました。
日本では法制化されていない民間資格のカイロプラクティックですが、家族の腰痛の改善をきっかけに興味を持ったため、高校卒業後にそちらの勉強をはじめました。
「手に職をつければお客様が来てくれて仕事になる」
当時高校生の私は、このように安易に考えていましたが、実際は全く異なる職業でした。
例えば、私が勉強をした団体では店舗に就職という制度はほとんどなく、各自でお客様をみつけて仕事にしていく言わば個人事業主だったのです。
つまり一般的な就職ではなく、いきなり個人事業主としてスタートすることになりました。
自営業を始めて店舗を持つまでの道のり
高校を卒業後からいきなり個人事業主となった私は、自分の店舗を持つまでに下記のような道のりを歩んできました。
- 高校卒業後に個人事業主として登録
- インターン先で修行
- 技術的な訓練+営業の勉強なども行う
- 出張施術を行いながら生計を立てる
- 後に自分の店舗で営業
といった流れです。
自分で店舗を開くまでは、常に自身でモチベーションを上げながら修行する日々でした。
もちろん、個人事業主として仕事をスタートしてもすぐに収入につながるわけではないので、単発の派遣アルバイトなどもしていました。
アルバイトも本業であるカイロプラクティックの仕事に差し支えがないように調整していましたが、そこで一緒に働いた仲間が後にインターン先の店舗にお客さんとして来てくれることもありました。
「どこに出会いがあるのかわからない」というのを体感した時でしたね。
地方で自営業を行うために利用したサービス
後に地元で店舗を開いた私は、 人脈を増やすために商工会に入会しました。
店舗には知り合い経由でのお客さんのご利用が多かったのですが、商工会ではチラシ作成やHP作りのサービスもあるため、そちらをフル活用しました。
直接の集客につながらなくても、とにかく名前を売るために地域の産業祭りなどには必ず出店していました。
「カイロプラクティックのお店がある」
「あの人がやっているんだ」
産業祭りからすぐにお客様に繋がることは少ないのですが、上記のように私のお店を知ってもらうキッカケ作りになりました。
そのため、顔を出せる場所には自ら進んで顔を出していました。
地方で開業した後の主な仕事内容
ここから私の具体的な仕事内容について書かせて頂きます。
カイロプラクティックは手技療法と呼ばれる施術で、主に脊椎等を調整することで身体の痛みを軽減し、自然治癒力を高めることを目的としています。
カイロプラクティックは高齢の方が通われるイメージがあると思いますが、私の店舗では若者の比率の方が多いです。
地方・自営業で心掛けていること
店舗に出勤すると、まず最初に受付のパートさんと二人で掃除を始めます。
コロナ禍の今、お客様の手に触れるところは特に念入りに消毒を行っています。
また、店舗には毎日下記のように様々な年齢層の方がご来店します。
- 部活に励む高校生
- 孫やひ孫がいる高齢者
- 産後に赤ちゃんと一緒に来られる親御さん
子連れで来られる方にはおもちゃをだし、ジョイントマットを敷いてDVDを流します。
中には子供の泣き声が苦手な方もいらっしゃいますので、その際には予約時にお子様連れの方と被らないように配慮して予約をとらせてもらってます。
できるだけお客様がリラックスして頂けるように心掛けていますが、やはり子供がいたりすると難しい状況などもありますね。
店の雰囲気作り
私の店舗では、できるだけお客様にリラックスして頂けるように屋内のレイアウトなどにも気を使っています。
- 店舗が冷たい暗いイメージにならないように明るいカーテンや仕切りを設ける
- おしゃれな置物やお花などを置いて清潔感を出す
これは来てくれたお客様の心がふわっと温かくなるような店舗を意識しているためです。
やはり清潔感がなく印象の悪いお店よりも、心も体も満足していただけるお店の方がお客様も通いやすくなるかと思います。
地方×自営業のやりがい・メリット
地方で自営業を行なう際の一番のやりがいといえば、やはりお客様からお知り合いの方を紹介して頂けた時ですね。
自分が満足してないものを人に勧めることはないと思うので、紹介をして頂けることはとても嬉しく、また信用を獲得できたという自信にも繋がります。
「お客様からの紹介=店舗への信頼」
また、私の店舗は田舎にありますが、車がないと生活できないような場所ですので、悪い噂は一気に広がります。
そのようなこともあるため、お客様とお店の信頼関係は非常に重要なキーワードとなります。
田舎は競合相手が少ないメリットもある
田舎ならではのメリットとしては、競合相手の少なさが挙げられます。
静岡県では都会に比べて店舗や同業者の数も少ないので、相対的にお客さんも獲得しやすくなります。
静岡の田舎で10年以上同じ場所で自営業(店舗)を継続してこれたのは、この部分が大きいのかもしれませんね。
技術向上=成果に繋がる
この業界は必ずしも技術を向上すれば成功するという世界ではありませんが、お客様の満足度を高めることには変わりありません。
そのような意味では「自分の技術」=「お客様のリピート率」など、お店の成果としても繋がってきますね。
もちろん必要な技術がなければお客様の施術にあたれないため、安全に施術を行えるスキルは絶対条件です。
しかし、安全な技術があってもお客様が来なければ仕事になりませんので、継続的に技術を勉強しつつお客様を増やす方法を常に考えていました。
「自営業であれば、やはり継続的な勉強は必要」
正直、当時は頭の中は仕事のことでいっぱいでした笑
また、私の場合は店舗をオープンするためにローンを組んでスタートしていたので、そちらの返済もしていく必要がありました。
いくら技術を持っていても潰れてしまったら何の意味もないので、お店の成果につながるよう必死に勉強していました。
勉強して技術向上を計った分だけ成果に繋がる場合もあるので、この部分も大きなやりがいの一つですね。
地方×自営業で大変だったこと・デメリット
ここからは自営業で大変だったことを語っていきたいと思います。
地方に関わらず、自分自身の力で仕事をしていく場合は、常に不安とリスクが付き物です。
あくまでも私の体験談ですが、これから起業を考えている方はぜひとも参考にしてみてください。
常に収入ゼロのリスクがある
自営業で精神的に一番大変だったことは、常に仕事と収入がゼロになる可能性と隣り合わせなことです。
先ほどもお話した通り、自営業は「自身のスキル」=「収入」となりますので、全てが自己責任となります。
「もちろん、病気や怪我をしたら仕事ができなくなるので、今でも私生活のプレッシャーは少なからず感じています」
また、最初の頃は金銭面的に不安定になることもありました。
当時はスキルアップの為に研修に参加していましたが、稼いでもローン返済や勉強代などにお金が消えてしまうため、まさに自転車操業の状態でした。
当時は研修のための交通費すら痛い出費になったぐらいです笑
今では自分の店舗で営業しているため安定はしていますが、やはり収入ゼロのリスクと常に隣り合わせの状態には代わりありませね。
出産時には休業が必須
開業してからも仕事ばかりの状態が続いていましたが、私も20代の後半に突入したため、結婚をしました。
結婚相手はこの仕事に理解を示し応援してくれましたが、結婚後は家の都合で通勤時間が1時間弱かかるようになってしまいました。
また、妊娠時はつわりがひどく、仕事をするのもきつかったのですが、安定期前だったのでお客様に伝えることもできませんでした。
「体調が悪いのを悟られないように必死で仕事をしていた」
安定期に入ってからはつわりが落ち着きましたが、切迫早産の為できるだけ安静に過ごすようにとの診断が降りてしまいました。
そのため、しばらくお仕事は休業となりました。
出産後の復帰
その後は無事に子供を出産することができたため、その2ヶ月後には営業日をかなり減らしての復帰となりました。
しかし、数年後2人目の出産に伴い、またしばらく休業。
現在は二人目が保育園に入園したのをきっかけに、少しづつ仕事に復帰することができました。
やはり結婚をすると、独身時代のように夜遅くや休みの日にまで対応することが難しくなりますね。
今は子育ての負担にならない範囲で私なりの働き方をしていますが、収入面では少なからずデメリットとなりますね。
確定申告など自分で行わなければならない
自営業となると、確定申告などの事務手続きなども自身で行う、もしくは税理士等に委託する必要があります。
私の場合は当初は下記のような流れで確定申告を行っていました。
- 確定申告の相談所にいく
- わからない箇所を相談
- 何時間もかけて確定申告を行う
そして、確定申告以外にも税金の支払いも自身で行います。
当時の自転車操業状態だった私は、来月支払う税金にびっくりしたことをハッキリと覚えています笑
最初の頃は勢いに任せて仕事をしていたため、経理の方は管理不足だったと思います。この部分はしっかりと準備しておくべきだったと感じています。
地方でのお客さんの確保
地方で自営業を行う場合は、人と人のつながりがとても大きいと感じます。
静岡県の田舎のため、ライバル店が少ないこともありますが、実際に私のお店のお客様は紹介や口コミで来られる方が多かったです。
中には常連さんが知り合いの方を見学者として連れてきてくれることもあり、横の関係でお客さんが増えることもあります。
お客様との信用があるから継続できた
日々必死で仕事をしていると、私の施術を気に入ってくださるお客様が徐々に増え、なんとかやっていけるようになりました。
しかし、お客様が増えたからといって油断もできませんので、もっと稼ぐために常に新規のお客様が来てくれる戦略を考えていました。
この時期は常連のお客様も増えてきたため、考えることは仕事のことばかりでした。
「一般企業に就職したらもっと楽だったのかも…」
「辞めたら楽になるのかな…」
このように思ったことは何回もありましたが、私のところに通ってくださるお客様が心の支えとなっていたので、なんとか継続してこれました。
日中は常に仕事のことで頭がいっぱいでしたが、お客様と接している時が一番楽しい時間でもあったのですね。
私を信頼して来てくれる方がいる限り簡単に投げ出すわけにはいかないと思い、結果その繰り返しで今までやって来れたように思います。
地方×自営業の体験談 まとめ
以上が地方(静岡)で自営業を行った私の体験談でした。
寝ても覚めても仕事の事でいっぱいだった私ですが、当時の基盤があるからこそ結婚・出産・子育てをしながら続けてこれたのだと思います。
高校生の時にカイロプラクティックを仕事にするという強い決意があったこと、自分の好きな仕事を選んだからこそ、ここまで継続することができました。
今もこうして地方×自営業という形で仕事をすることができ、本当に良かったと思っています。
※このサイトでは他にも地方×自営業を営む方の体験談を載せていますので、興味のある方は下記もお読みください。