皆さん、牧場でのお仕事にどのようなイメージをお持ちでしょうか?
広大な牧場で動物たちと毎日触れ合いながら仕事をしたい
だけど仕事内容が不明瞭で少し不安…
確かに牧場でのお仕事は魅了が多く、人によっては天職となる方もいます。
しかし、仕事内容や職場環境、生活面などの情報が十分に得られず、牧場への就職に対して一歩踏みとどまっている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、幼少期から牧場で働く父の下で育ち、実際に業務を行ってきた私が、「牧場の仕事内容・生活の様子・メリット」などを体験談を交えて解説したいと思います!
北海道の牧場はこんな感じ
私の生まれは「北海道・新ひだか町静内」という、競走馬の生産・育成牧場が多いことで有名な町です。
北海道は昔から沢山の牧場が点在していますが、広大な土地ならではの特徴を持っています。
北海道の牧場の特徴
- 広大な牧場地や野原
- 道路を走ると度々目にする家畜動物達(牛、馬、豚、羊など)
- 山林に生息する自然動物(キツネ、タヌキ、鹿など)
他にも、鹿と馬が一緒になって牧草地で横になっていたり、動物たちが水溜まりで一緒に水を飲んでいたりする場面を見かけることもあります。
その光景を観ると、都会では味わえない、牧場地帯ならではの感動を覚えますね!
Point
- 私生活でも目にする動物達
- 放牧地の幻想的な光景
牧場仕事に憧れて移住してくる人もいる
最近では、各メディアなどの影響により、北海道の牧場に興味・関心を持っていただける機会も少なくありません。
そのため、牧場で働くために、北海道へ移住される方々も毎年のように見受けられます。
また、新しく開設された牧場などを拝見すると、最近はAI搭載の最新機械を導入している現場などもあります。
ひと昔前の「牧場は重労働が当たり前」という考えとは異なり、男性より筋力の少ない女性が働いている姿も珍しくありません。
Point
- 牧場に憧れて移住する人たちもいる
- AIを搭載した仕事環境
- 性別関係なく働ける環境
牧場で生まれ育った私の体験談
私が生まれた当時、父親は競走馬の生産牧場で働いていました。
そのため、牧場内の社宅に家族全員で暮らす生活をしており、生まれた時から動物達と触れて過ごすことが当たり前の環境でした。
そのうち、大人たちが頑張って作業している牧場の仕事がとても楽しそうに見え、動物たちへの餌やりなどを積極的に手伝っていました。
大人になった今では、農業高校が実習授業などで活用する家畜(馬、乳牛)などを委託管理する会社で働き、子供の頃とはまた違った目線で、牧場の仕事に触れています。
私が体験した牧場仕事の内容と魅力
ここからは、牧場での仕事内容を具体的にお伝えしていきたいと思います。
私が体験してきた牧場での仕事は、おおまかに下記のように分類されます。
- 動物たちへの餌やり
- 畜舎から放牧地への出し入れ
- 畜舎、牧場内の清掃管理
- 動物たちの体調確認
- 牧草などの餌の仕入れや収穫
もちろん、扱う家畜動物や牧場の状況により、細かな作業内容は変わります。
しかし、基本的な仕事内容としては、この分類で変わりはありません。
動物への餌やり
私がこれまでの人生で、餌を与えてきた家畜動物は「馬」と「乳牛」です。
家畜動物の種類や、それぞれの牧場の考え方によって餌をあげる回数やタイミングは変わりますが、私の場合は一日に大体3回か4回ほど餌やりをしていました。
その中で重要視していたことは、5時~6時(日の始め)に行う「朝の餌やり」です。
特に乳牛の場合、朝の餌をあげる時間が遅れたりしてしまうと、搾乳(乳から牛乳を搾る)する時間も遅れてしまいます。
出すべき牛乳が、乳房に必要以上に溜まり、最悪の場合は乳房炎などの病気が発症してしまいます。
餌やりは牧場仕事のやりがいの1つだった
餌やりは他の動物たちにとっても非常に重要です。
例えば、馬の場合も餌をあげる時間が遅れると、お腹を空かしてイライラし始めます。
場合によっては、厩舎の壁を蹴り、足にケガを負ってしまうなどの事故に繋がるケースもあります。
このように、日の始めにあげる餌はとても重要だったので、牧場で仕事する上では一番大事にしていました。
馬でも乳牛にも共通していえることですが、元気で健康な状態の動物は、とても美味しそうにエサを食べてくれます。
ガツガツ美味しそうに食べてくれる動物達の姿を見ると、自分の仕事にやりがいを感じましたね!
Point
- 餌やりは一日に3、4回ほど行う
- 早朝の餌やりが最も重要
- エサを食べる動物達の姿にやりがいを覚える
畜舎から放牧地への出し入れ
放牧地への出し入れに関しても、扱う動物や牧場の方針によって変わってきます。
私が扱っていた馬と乳牛の場合は、ほぼ毎日放牧を行っていました。
畜産動物の放牧地への出し入れは、牛や馬などの身体が大きな動物ほど、人間に危険性が伴います。
注意が必要な業務ではありますが、近くで動物達に触れあえる絶好のチャンスでもあります。
また、動物たちは普段から優しい扱いをしてくれる人に懐き、その場合は出し入れの指示にも素直に従います。
動物との信頼関係を確認できる作業でもあるので、牧場仕事をする上で「やりがいを感じられる業務」の1つでもありますね。
Point
- 放牧は毎日行う
- 最も動物達と触れ合える業務
- 信頼関係が築けると、動物達は自然と懐く
畜舎・牧場内の清掃管理
動物と人間の病気、もしくは怪我を避ける意味でも、牧場内の清掃管理はとても大事なお仕事の1つです。
「初めて働く方は必ず清掃から」、というのがルールと言ってもいいぐらい、牧場業務の土台のようなお仕事です。
新人さんにとっては、清掃作業を通して敷地内の把握ができるため、牧場で働く上で危険な場所を自身で確認できます。
動物たちが寝る、食べる、通る場所は徹底的に掃除を行い、柵など建物内で破損している箇所はないかなど、清掃作業をしながら常に確認を行います。
Point
- 牧場の最も基本的な仕事
- 動物の病気、ケガの予防にも繋がる
- 新人は敷地内の危険箇所を認識できる
家畜動物の体調確認
動物は言葉でのコミュニケーションが取れないので、牧場の人間が常に動物の体調を確認します。
病気や怪我をしている子、いつもより調子を崩している動物をみつけた場合は、下記のような対応が取られます。
①牧場長(上司)に報告
②獣医を呼ぶ
③病気やケガが見つかった場合は、主に牧場内で治療
また、家畜動物の生産をする牧場は、種付けや人工授精による出産の仕事もあります。
出産時期には人間がすぐに対処できるよう、従業員同士で夜勤体制を取る牧場もあります。
なぜ対処が必要なのかというと、出産には動物の命にかかわる様々なトラブルが起こりやすく、人間がすぐに手助けする必要性が出てくるためです。
牧場での出産は命懸け…場合によっては手術も必要
例えば、難産の場合には人間が手助けする必要性があり、状況によっては獣医を呼び帝王切開が必要なこともあるのです。
人間と同じように、動物たちにとっても出産は命を掛けた大仕事です。
私が経験した最悪な出産としては、親子共に亡くなったこともありました。
また、体の大きい動物が無事に子供を産んだ場合でも、出産の疲れで倒れこんだり、陣痛などの痛さで暴れたりするケースも少なくありません。
その場合、子供を足や体で踏みつぶしてしまう危険性が発生するため、人間が動物の子供を守る業務も必要となってくるのです。
家畜動物の出産は牧場従業員にとっても大変な仕事ではありますが、産まれたばかりの可愛い赤ちゃんを見ると、頑張ったやりがいを感じ、よく感動していました。
Point
- 動物の体調管理は常に行う
- 出産時期には夜勤体制を取ることもある
- 動物の体調によっては獣医を呼ぶ
- 出産成功時には感動を覚える
牧草などの餌の仕入れや収穫
家畜動物の中でも牛、馬、羊などの草食動物は牧草を食べます。
もちろん放牧地などに生えている草も食べるのですが、肉や乳をたくさん増やすには、乾燥した牧草が必要になります。
専門業者から牧草を購入して仕入れる牧場などもありますが、専用の牧草地を持参している場合は、8月中旬から9月上旬頃になると収穫を行います。
私は子供の頃からこの収穫作業が大好きで、「乾燥した牧草の甘い匂い」に北海道ならではの牧場の良さを感じていました。
Point
- 専門業者から購入する
- 牧場で生産、収穫する場合もある
牧場仕事で得られるメリット
ここからは、牧場で仕事をする上での「メリット」について解説していきたいと思います。
牧場の仕事は、朝早くからの勤務が必要だったり、重労働のように見える事もあるかもしれません。
しかし、実際に働いている方は大体メリットを感じていることが多く、充実した生活を過ごしています。
牧場仕事によるメリットとしては、主に下記が挙げられます。
- 牧場会社で社宅を設けている
- 新鮮で美味しい食事がとれる
- 健康的な生活が身につく
- 貯金がしやすい
それぞれ、細かく説明していきます。
牧場会社で社宅を設けている
全ての牧場会社で…とは言えませんが、牧場会社では社宅を設けていることがよくあります。
社宅なので、町内賃貸住宅よりも家賃がとても安く、羽振りの良い牧場だと家賃が無料の場合もあります。
また、とある牧場の寮では、従業員寮を設けているケースなどもありますね。
この場合、寮専用の料理人がいて、従業員の食事の用意もしてくれますので、こちらは大きなメリットになりますね。
社宅を牧場の敷地内に設けている場合だと、従業員がすぐに出勤することができ、緊急時の対処もしやすくなります。
仕事上の利便性が高さは、牧場ワーカーにとっては非常にメリットとなります。
Point
- 家賃がとにかく安い
- 無料で貸し出しているケースもある
- 食事提供などのサービスが受けられる場合もある
- 緊急時の仕事にも対処できる
新鮮で美味しい食事ができる
広大な土地を活かした北海道ならではの話かもしれませんが、牧場の近くには農家の畑や田んぼが広がっています。
私が生まれ育った地域でも農家が多く、美味しいお米や野菜、フルーツなどを栽培していました。
また、町内のいたる所に直売所があり、チェーン店のスーパーよりも安い価格で、尚かつ採れたての作物が販売されています。
牧場で働き、農家の方との近所付き合いが良くなると、採れたての野菜などを貰えることもあります。
都会などでは味わえない、新鮮で栄養豊富な美味しい食事をすることができますので、「食」に関するメリットも大きい印象ですね。
関連記事:【体験談】都会女子が北海道で農業をしてみた・住み込みで地方移住して分かったこと
Point
- 近くに農家、直販店などがある
- スーパーよりも安く新鮮な場合が多い
- 農家さんからのお裾分け
健康的な生活が身につく
牧場の仕事は、畜舎や屋外などで体を動かしながら作業を行います。
そのため、常に新鮮な空気を取り入れ、体を動かしながら仕事を行いますので、運動面でのメリットも期待できます。
また、家畜動物の生活に合わせた仕事となりますので、朝早くに目を覚ますことが、自然と習慣化されます。
新鮮で美味しい食事ができることも相まって、自然に健康的な生活と体を手に入れることができるでしょう。
Point
- 体を動かす作業なので、運動不足にならない
- 早寝早起きの習慣が身に付く
- 新鮮で栄養豊富な食べ物
貯金がしやすい
「メリット」といえるかは人によりますが、貯金はしやすい環境だと思います。
牧場が広がる地域は主に町から少し離れたところにあり、車がないと中心部からのアクセスが難しい場合があります。
牧場敷地内の社宅などに住んでいて、尚かつ車を持参している場合でも、町まで買い物に行くことが面倒に感じることがありますね。
当然てすが、町までの買い物に行く回数が減ると、自然と無駄な買い物が減ります。
買い物にほとんど行かない、しかも社宅家賃が安いため、いつの間にか貯金ができている・・・
このような話を実際によく耳にします。
お金を貯めたい方、都心のような娯楽に興味関心が低い方々にとっては、大きなメリットになると思われます。
Point
- 社宅があるとかなりの節約になる
- 町から牧場へは距離があるので、買い物の回数が減る
- ただ、車はないとキツイ
牧場に就職、アルバイトで仕事をする方法
牧場に就職する方法はたくさんありますが、未経験者でもハローワークや求人サイトに直接申し込むことは可能です。
ほとんどの牧場が未経験者を歓迎しており、その人に合わせた仕事内容を用意しているケースがあります。
「牧場について触れたことがなく、不安だけど興味がある」
このような不安をお持ちの方は、それぞれの自治体や農協で用意されている、実習や研修に参加してみるのもおすすめです。
「知識をまず身につけたい」という方は、農業高校や農業大学への入学、または専門家の講習会などへ足を運ぶことも選択のひとつですね。
Point
- ハローワーク、求人サイトからも応募できる
- 未経験も歓迎している
- 各自治体による研修制度
牧場の仕事・まとめ
以上が、私が経験してきた牧場の仕事内容、メリットについてでした。
牧場での仕事は実に開放的で、尚かつ動物や自然と触れあうことができ、精神的な安定にも繋がります。
牧場でのお仕事は、「動物が好き」、「自然が好き」という方にはとても向いているお仕事ですので、男性女性問わず興味がある方にはオススメの職業です。
もし私以外の牧場体験者、もしくは北海道へ移住された方の体験談を詳しく知りたい場合は、下記の記事もお読み下さい。