皆さま、「島への移住」に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?
島での生活に憧れを抱く方はもちろん、仕事の都合により島への転勤を余儀なくされる方もいるのではないでしょうか。
「島での暮らしは自然豊かで楽しそうだが、やっばり不安もある・・・」
島への移住を検討されている人は、こんな気持ちを少なからず持っているかと思います。
そんな期待と不安に挟まれている方へ向けて、伊豆大島に3年間在住した私が「島暮らしのリアルな生活」と「移住して良かったこと・大変だったこと」を解説していきたいと思います!
この記事が島へ移住する際の「第一歩」を踏み出すきっかけになっていただければ幸いです。
伊豆大島へ移住した私の体験談
この記事を執筆している私は、25〜28歳の約3年間を伊豆大島で生活しました。
移住前は東京都の社会福祉法人で仕事をしており、主に障害者支援や高齢者介護などの業務を行っていました。
島へ移住したきっかけ
私が伊豆大島に移住したきっかけは、転職先の会社からの移動命令でした。
「伊豆大島の知的障害者入所施設で働いてください」
法人のトップから直々にお願いされ、もちろんこれを即承諾しました。しかし、転職が決まって安心した反面、「島での生活って大丈夫なのか?」というような不安もありました。
当時は新婚生活がスタートしたこともあり、突然の移住に対して大きな不安を抱いていましたが、結果的には移住してよかったと思ってます。
伊豆大島に移住するまでの準備→引っ越し
島での新生活をスタートするにあたって、「部屋探し」と「引っ越し」はかなり苦労しました。
ここは大変重要な部分となりますので、最初に詳しく解説したいと思います。
島での家探し
伊豆大島での部屋探しは、移住前の最も大変だったことの一つです。
今はインターネットで部屋を探すことは可能ですが、実際に部屋を下見しないと不安ですよね。
念には念を入れて、私たちは家を契約するまでに本土と伊豆大島間を二往復し、下見に訪れていました。
結果、私は3階建てのオーシャンビューマンションを契約しました。ちなみに、伊豆大島の住宅の7割はオーシャンビューとなります。その細かな内容は下記の通りです。
- 間取りは3LDK
- 駐車場付き
- 家賃は4万5千円
島内では他の物件も、同じ広さで大体4万〜6万円程度が相場でした。
また、大島で家を探す際は「大島空き家バンク」というホームページが役立ちますので、ぜひチェックしてみて下さい。
首都圏と比較した家賃と会社の補助
私が千葉県・松戸市に住んでいた頃の家賃は「1K・3万5千円」でしたので、1万円の増額で部屋の広さが当時の5倍以上になりました。
ちなみに、大島での借家生活は非常に快適だったのを今でも覚えています。
また、本土から転勤する場合は家賃手当が出るケースもあります。私の場合は2万円の補助があり、家賃は実質2万5千円でした。
他にも会社が住む家を紹介してくれるケースも多いので、転勤などで移住される場合は必ず確認しましょう。
私の経験上、個人での部屋探しはとても大変ですので…
Point
- 伊豆大島の70%はオーシャンビュー物件
- 3LDKで4〜6万が相場
- 会社補助は必ず利用すべし
伊豆大島への引越し
海を挟んでの引っ越しは、難易度の高いものとなります。
一人暮らしでの転勤や移住先での職場が決まっている場合は、家具付きの寮が準備されていることも多いです。
しかし、私の場合は妻と結婚直後の移住でしたので、家具一式を本土から島へ輸送しました。
ちなみに、大量の家具や荷物を輸送する場合、下記のような手順か必要になります。
① 本土の家から輸送
② 港でコンテナに詰め替え(業者がやってくれます)
③ 船で伊豆大島の港へ
④ 伊豆大島の家に到着
この結果、料金も高額となりました…
東海汽船のホームページで見積もりを出すことができますので、詳しくはこちらもチェックしてみて下さい
https://www.tokaikisen.co.jp/cargo/move/
また、車を輸送する場合は車内に荷物を詰め込んでおくと、全体のコストが安くなります。
しかし、この車での輸送は数日かかる場合があるので、注意が必要ですね。
※もし島から本土へ戻る場合であっても、同様の作業が必要になります。
永住する予定なら問題ないのですが、一時的な移住であれば必要以上に物を増やさないことをオススメします。
Point
- 会社によっては家具付きの寮を用意してくれる
- 島への引っ越しは割と高額
- 車に荷物を詰め込んでの輸送もアリ
島に移住して良かったこと
ここからは、具体的な島での暮らしと移住して良かったことなどをご紹介したいと思います。
あくまでも私が感じた「島暮らしのメリット」として読んでいただけますと幸いです。
島での仕事について
先ほどもお伝えした通り、私は伊豆大島にて知的障害者入所施設で勤務していました。
島では時間の流れもゆっくりとしており、また他の仕事をしている人達も本土のように慌ただしくありません。
時間やプレッシャーに追われることなく生活したい人にはピッタリな環境だと感じましたね。
仕事中に起きた事故と島民たちの優しさ
「伊豆大島は心温かく優しい人が多い地域」ということを実感したエピソードがあります。
ある日、施設のご利用者様が単独で外出してしまい、居場所がわからなくなってしまった事があります。
職員が大慌てで捜索を開始した直後、島民の方から施設に下記のような電話が入りました。
「お宅のご利用者さんが家の前を歩いていたから、家に上がってお茶飲んでもらってるよ!」
島民のお気遣いにより、ご利用者様は無事保護されました。これがもし本土で行方不明になっていたら、大騒ぎになっていたかもしれませんね。
この体験がきっかけで、私は「大島は優しい人が多い」という印象を持つようになりました。
この他にも島民の温かなエピソードは何度もありましたが、その度に彼らの優しさを体感しました。
Point
- 時間の流れがゆっくり感じる
- 仕事のスレトレが少ない
- 島民たちが優しい
島での食事について
伊豆大島は食事がとても魅力的ですが、その中でも魚介類は絶品です。
もちろん、スーパーでの品揃えが豊富だったり、島民の方と仲良くなると釣った魚をお裾分けしてもらえることもありました。
ちなみに、私が特に驚愕した珍味は「くさや」です。
私も伊豆大島で初めて食べましたが、一度食べるとクセになる味です。スーパーでも普通に売っていますので、せひ体験してみて下さい!
島では自給自足も可能?自ら食料調達をすることも
伊豆大島では、自然の中から自分自身で食材を調達することもできます。
中でも初心者には「明日葉」の採取がおすすめです。
道端に普通に生えており、天ぷらや胡麻和えにすると最高に美味しいです(ちなみに春に生える新芽が柔らかく美味です)。
そして、上級者には秋の「自然薯」の採取もおすすめです。
大島の自然薯は、今まで食べた山芋の概念が崩れるぐらい美味しいです!
もちろんお店で購入することも可能ですが、4〜5千円とかなり高価になってしまいますので、自分で採取した方がお得です。
島での飲食店は若干高め
島の飲食店は観光客を対象としているため、値段は少し高い傾向があります。
しかし、味に関しては間違いなくクオリティーが高いです。
特に島唐辛子醤油で魚の白身を漬けた「べっこう」は何度食べても飽きることがありません。
あまりにも美味しすぎて、私は自宅でも作って食べたのを覚えています笑
Point
- 海の幸は文句なしに美味い
- 自然の中から食材を調達できる
- 飲食店は若干高めだが、味は文句なしに美味い
島では貯金か貯まる
島暮らしは、支出する場所が少ないためお金が貯まります。
伊豆大島は観光地ではありますが、遊ぶ場所が非常に少なく、また夜も19〜20時にはお店も大体閉まります。
また先程お伝え下通り、家賃が非常に低いことも、お金が自然と貯まる要因となっています。
島に限った話ではありませんが、貯金のしやすさは地方移住での大きなメリットの1つになりますね。
島の物価は高いのか?
島での物価については、下記のようなイメージが強いのではないでしょうか?
「島での買い物って、本土からの輸送料があるから高いんじゃない?」
このように思われている方が多いですが、それは間違いです。実際のところは、島でも定価で販売されています。
とはいえ、割引などはされていないため、本土よりは若干高くなりますが、ほんの僅かな差になります。
ですので、感覚的には本土とそれほど変わらない値段での買い物が可能となっているのです。
Point
- 島ではお金を支出する場所が少ない
- お店は20時前後には閉まる
- 貯金が貯まりやすい
- 島での買い物価格は本土と同じ定価となっている
大島は自然が豊富
伊豆大島一番の魅力は、島ならではの「大自然」です。
特に大島を語る上で、海の魅力は絶対に外せません。私は5月〜10月半ばまで、大島のキレイな海でよく海水浴を楽しんでいました。
時にはシュノーケルとフィンを装備し、モリを片手に魚を捕獲しにいくこともありました笑。
また、島の海は本土と比べ透明度が格段に違います。
深い場所を泳いでも透明度が良いため、空に浮いているかのような感覚になります。
大島は海でのアクティビティが最高
大島は観光地としても有名なため、島内にダイビングショップが多かったり、本土から釣りだけを目的に訪れる人も少なくありません。
私も何度か挑戦してみましたが、初心者でも簡単に釣れます。
釣りや海でのアクティビティが好きな人にとっては、島は最高の環境となるでしょう。
大島ならではの観光スポット
大島は海以外にも様々な観光スポットやアクティビティを楽しむことが出来ます。観光名所でいえば、下記のような見どころあります。
- ゴジラが生まれたとされる「三原林」
- ドラマ・漂流教室の撮影地「裏砂漠」
- 都会とは比べ物にならない「満天の星空」
などなど、魅力的な観光スポットが豊富にあります。
季節によって違う楽しみ方があるので、島を離れるまで3年間を飽きるなく楽しむことができました。
大島は温泉も魅力的
伊豆大島は火山島のため、温泉を楽しめる場所が多数あります。また、観光客用の旅館やホテルで入浴のみでの利用も可能です。
アクティビティや観光名所を回った後に、海や山の大絶景を見ながらの温泉は本当に最高です!
島に移住して大変だったこと
ここまで、島暮らしの良いところをご紹介してきましたが、反対に大変なことも山ほどあります。
特に大自然ならではの「虫問題」や「気候」に関するデメリットはかなり大きいですね。
ここからは、私が感じた島暮らしで大変だったポイントについて解説します。
湿度と潮風による被害
基本的に島は海に囲まれているため、湿度対策は必須です。
梅雨時期の洗濯物は長時間乾きませんし、カビも発生しやすいです。さらにコンピューター機器も湿度が高い環境だと、寿命が短くなる傾向があります。
私の場合は除湿用品で対応していましたが、これだとすぐに水が溜まってしうため、高性能な除湿機を購入しました。
また、海の潮風の影響にも注意が必要です。屋外の物に塩がびっしり付着することがあったり、車は擦って傷がつくと、そこから塩の影響で徐々に錆びていきます。
布団も外で長時間干すと、浅漬けのようになります。
湿度と潮風に関しては、本土で暮らしている人の想定を遥かに上回るかと思いますので、注意が必要です。
Point
- 湿度対策は必須
- 塩の影響で物が錆びる
- 洗濯物や車の擦り傷に塩がつくこともある
虫や爬虫類が大量にいる
伊豆大島は虫がとても多く、そして想像以上に大きいです。
自然豊かな場所であるため仕方がないのですが、私は虫が得意でないため非常に苦労しました。
特に蛇サイズのムカデが今でも記憶に残っており、かなりトラウマになりました笑
そのため、虫や爬虫類の家への侵入を防ぐ対策が必要となってきますね。
また、蛙やヘビなども容赦なく出現します。
蛙に至っては、梅雨時期に道路を埋め尽くすこともあるため、苦手な方は大変辛いかもしれません。
ちなみに、私の妻は発狂していました笑
慣れると季節の風物詩のように感じることができますが、最初のうちは覚悟しておいた方がいいかもしれません。
Point
- 大量の虫や爬虫類
- 蛇サイズのムカデがでることも…
- 梅雨の時期はカエルだらけ
- 最終的には慣れた
天候による交通への影響
天気によっては本土と島の往復ができず、交通手段が断たれる場合があります。これは天候や風、波の影響によって船が動かせなくなるためです。
伊豆大島と本土の交通手段は、基本的に東海汽船という会社の船を利用しますが、台風や波の高さ、霧の影響をダイレクトに受けてしまいます。
しかし、通常のフェリー以外にも本土へ渡る方法はいくつかあり、どんな天気でも何かしらの移動手段が残されています。
- ジェット船(竹芝へ約1時間45分、熱海へ45分)
- 大型船(竹芝から約5時間)
- 飛行機(調布から約25分)
これらを使うという選択肢もありますが、天候に関しては当日を迎えないことには何ともいえません。
私は本土へ戻る用事がある時は、天気予報と運行予想を毎日のようにチェックしていました。
また、台風が来た時は1週間以上、新聞が届かないこともありましたが、今はスマホさえあれば問題なさそうですね。
天気の問題は全ての人に共通しているかと思いますので、移住後のデメリットとして心に留めておきましょう。
島へ移住する前に準備しておくべきおこと
ここからは、移住前に準備しておくと便利なアイテム、必需品などをご紹介します。
特にこれからご紹介する3つのアイテムは、移住には必須といっても過言ではないので、しっかりと準備しておきましょう。
車の免許
島内での移動は基本的に車となりますので、車と免許は必須です。
自転車でも生活できなくはありませんが、大島は火山島なので、坂道などのアップダウンが非常に激しいです。
自転車が趣味であれば耐えられるかもしれませんが、普通の人には厳しいと思います。
もし車が手配できない場合は、原付や電動自転車でも生活できますが、その際は住む場所の近くに買い物先があるか予め確認しておく必要があります。
しかし、伊豆大島は気候の変化が激しく、さらに強風も吹くことが多いので、その点は覚悟しておく必要がありますね。
伊豆大島には自動車教習所がありますので、移住後の免許取得も可能です。
実際に私の同僚も何人か取得していましたので、島の教習所に通うのもアリかと思います。
Point
- 島での移動は基本的に車
- 電動自転車や原付きでも一応可能
- 伊豆大島には教習所がある
ネット環境の確保
住む場所にインターネット環境が整っているかは、事前に確認しましょう。
いくら自然が楽しくても、島ではやはり時間をもて余してしまう場面もありますので、インターネット環境は必須となります。
古い家に住むと工事が必要なケースもあるので、事前にお問い合わせておくことをオススメしますが、短期での移住を計画されている方やどこでも使えるネット環境を理想とされる方であれば、BroadWiMAXなどの安くて速いモバイルwifiもオススメです。
Point
- ネット環境は必須
- 住む家によっては工事が必要
Amazonプライムへの登録
島に移住するのであれば、Amazonプライムは絶対にオススメです。
私が住んでいた頃は、このサービスを知りませんでしたが、もし知っていれば間違いなく使ってますね。
アマゾンではありませんでしたが、実際に私は島暮らし中に何度もネットショップにお世話になりました。
Amazonプライムとは、月500円支払うことで基本送料が無料になります。
さらに、「Prime Video」や「Amazon Music Prim」などの映画見放題やドラマ、音楽を楽しめるサブスクリプションサービスを使うこともできます。
島や地方移住をする際は、動画配信サービスにはお世話になることが多いと思います。
移住前に登録し、ぜひ島での快適な生活を送ってください!
Point
- 島でもネットショップを使う
- 映画やドラマが見放題のアマプラがおすすめ
水着、ハイキング用の靴など
島ではアウトドアの機会が多いですが、品揃えは良くありません。
ですので、移住前にあらかじめ買い揃えておくことをオススメします。
ただ、水着などオシャレ過ぎると島内で浮く可能性があるので、注意が必要ですが笑
先程もお伝え下通り、島では釣りやシュノーケリング、ハイキングなどのアクティビティが満載ですので、しっかり装備を整えておくことをオススメします。
Point
- 島でのアウトドア用品の品揃えは良くない
- 予め装備を揃えておくと便利
島への移住・暮らしまとめ
以上、私が体験した伊豆大島への移住と暮らしについての体験談でした。
島への移住、生活は本土に比べれば確かに不便なことが多いですが、それ以上に魅力ある有意義な体験ができます。
私は島暮らしを経験した人で「二度と住みたくない」といっている人を聞いたことがありません。
「また島に住んでもいいかな」
このように答える人が殆どですので、諸事情により本土に帰ってしまった人からの満足度も非常に高いです。
ですので、移住に対して迷いがある方がいましたら、勇気を振り絞って一歩踏み出してみてはいかがでしょうか!
もし、他の島への移住体験を知りたい場合は、下記の記事もおすすめですので、併せてチェックしてみてください。